2008 Fiscal Year Annual Research Report
火山灰土壌に成立する森林における大規模皆伐が物質循環様式に与える影響評価
Project/Area Number |
20780120
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
舘野 隆之輔 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (60390712)
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Keywords | 森林伐採 / 窒素流出 / 渓流水質 / 未熟土 / 火山灰 / 窒素循環 / 養分循環 / 物質生産 |
Research Abstract |
本研究は、火山灰土壌(未熟黒ボク土)に成立する森林において、大規模伐採の影響を外部循環・内部循環を定量的に評価し、長期影響評価モデルを構築することを目的としている。平成20年度は、伐採が渓流水質に与える短期的な影響を明らかにするために、2005年に伐採した皆伐流域と伐採していない森林流域において、渓流水の採水を2週間から1ヶ月間隔で行ない主要アニオン・カチオン濃度の分析を行い比較した。また伐採後の長期的な物質循環プロセスの変化を明らかにするために時系列プロットを設置し、毎木調査、植物体・土壌の炭素・窒素蓄積量の定量化、リタートラップによる養分還元量の定量化を行った。さらにモデルのインプットデータとなる気象条件・土壌水分・地温などの環境条件の測定を行った。また観測データから得られた成果の一部を学会において発表した。 ここまでの研究により、短期的な変化に関しては、他の地域で報告されているように本調査地においても、伐採後に渓流水の硝酸濃度が上昇することが明らかとなった。本調査地では伐採後半年程度で硝酸濃度のピークが見られ、翌年以降には濃度がやや低下する傾向が見られ、2年目以降では夏から秋にかけて硝酸濃度は低下し森林区の濃度とほぼ同じ値を示し、再び3年目の春から濃度上昇する傾向が見られた。ピーク時の濃度は、国内の他の地域と比較すると低かった。また時系列プロットから推測される長期な変化に関しては、地上部現存量蓄積パターンは他の地域で報告されるパターンと大きな違いは見られなかった。 来年度は引き続き、渓流水質、環境条件のモニタリングを継続するとともに、時系列プロットから採取された未分析試料の分析を行う予定である。
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Research Products
(7 results)