2008 Fiscal Year Annual Research Report
レバーアーム構造をもたない褐藻類ミオシン様タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
20780150
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 晶 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (70396307)
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Keywords | 褐藻類 / コンブ類 / モータータンパク質 / ミオシン / アクチン / ATPase |
Research Abstract |
申請者らが見出した他種ミオシンのモーター領域と高い相同性を示す634アミノ酸から成るマコンブ・ミオシン様タンパク質(GenBank accession number AB299379、SjMLPと称する)の昆虫細胞発現系の構築を行った。C末端にHis-tagまたはGFPおよびHis-tagをもつ各組換えSjMLP(それぞれSjMLP-HisおよびSjMLP-GFP-Hisと称する)を発現し、目的タンパク質の精製を試みた。いずれの組換えタンパク質も発現量の約50%が可溶化していたが、SjMLP-HisはNi担体に吸着しなかった。これは、SjMLPのC末端部分の構造がHis-tagの立体構造に影響を及ぼしたためと推定された。一方、SjMLP-GFP-HisはNi担体に吸着し、1Lの培養液から約0.02mg得られた。精製SjMLP-GFP-Hisは、F-アクチンとATP非存在下で結合し、2mM Mg-ATPにより解離した。また、Mg-ATPaseを測定した結果、アクチン非存在下では0.12 l/secであったが、0.1mg/mlアクチンを含む溶液中では、その活性は約1.3倍に上昇した。 また、SjMLPの構造遺伝子を解析するために、SjMLP・cDNAの5'および3'側非翻訳領域に相当するプライマーを用いてゲノミックPCRを行った。その結果、約7kbpのDNAが増幅され、塩基配列解析によりSjMLPの翻訳領域は3個のイントロンで分断された4個のエキソンから構成されていることが分かった。この結果は、SjMLPは真核生物由来であることを示していたが、他種の筋肉および非筋肉ミオシンの相当領域の遺伝子構造と比較するとイントロンの挿入位置が異なっており、その数も他種の場合と比べて半分以下であった。これらの違いは、二次共生により誕生したとされる褐藻類の独特な進化と密接に関連していると考えられた。
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