2009 Fiscal Year Annual Research Report
レバーアーム構造をもたない褐藻類ミオシン様タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
20780150
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 晶 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (70396307)
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Keywords | 褐藻類 / コンブ類 / 細胞運動 / モータータンパク質 / ミオシン / アクチン / カルモジュリン / ATPase |
Research Abstract |
マコンブのミオシン様タンパク質(LjMLP)は他種ミオシンのモーター部位に相当する配列をもつがLoop-2以降に相当する配列をもたず、軽鎖を結合しないと推定されたため、当初は組換えLjMLPを単独で発現し、機能の解析を試みた。得られた組換えLjMLPはアクチン結合能を示すもののアクチン活性化Mg-ATPase活性を示さず、ATP存在下でもアクチンから解離しなかった。しかしながら、一般に細胞性ミオシンの軽鎖として知られているカルモジュリン(CaM)をコードするcDNAをマコンブから新規にクローニングし、それを利用して組換えLjMLPとCaMとの共発現を行い得たLjMLPのMg-ATPaseは20μMアクチンの存在下で約1.8倍に活性化(0.86 1/sec/head)された。さらに、in vitro motility assayによりLjMLPは約25nm/secの速度でアクチンを移動し、その方向性は二重蛍光ラベルしたアクチンを用いて+方向に移動すると決定された。このようにLjMLPの機能発現にはCaMが必要であり、その結合部位はユニークな28アミノ酸からなるC末端部分と推定された。また、LjMLPの発現パターンを解析するために、函館沿岸で2009年1月から8月にかけて採取したマコンブから組換えセルラーゼ、同アルギン酸リアーゼ、および同プロテナーゼKの各精製酵素を混合使用して高品質のプロトプラストを得る方法を確立し、そこからcDNAを合成した。RT-PCRによれば、LjMLPをコードするcDNAは採取時期や藻体の部位によらず常時発現していることが示唆された。以上の結果から、典型的なレバーアーム構造をもたないと一次構造から予測されたLjMLPは、マコンブのユビキタスなタンパク質であり、ミオシンとしての基本機能をもつことが生化学的に明らかになった。
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