Research Abstract |
衛星データからLUE(Light Use Efficiency)を算出する場合には, 年間を通したPRI(Photochemical Reflectance Index)とLUEの関係を把握する必要がある。しかし, これまでは, ある特定の時期におけるPRIとLUEの関係を検討した研究がほとんどである。また, 衛星データからのLUE算出は, 瞬時値である衛星データから算出したPRIから1日の平均LUEを算出している。しかし, LUEは環境状態により刻々と変化するため, 衛星の観測時刻により, 推定されるLUEの値が変化する可能性がある。そのため, 本年度は, 岐阜県高山市の冷温帯落葉広葉樹林における自動連続観測データを用いて, PRIとLUEの関係を詳細に検討した。具体的には, 地上で自動連続観測された分光反射率データとCO_2フラックスデータを用いて, PRIとLUEの関係について検証した。PRIは衛星の観測時刻に合わせて11時(午前)と14時(午後)のデータを使用した。また, LUEは11時, 14時, 1日の平均LUEを使用した。その結果, PRIとLUEは生育期間初期(展葉期)から増加し, 夏期に最大となり, 生育期間終了期(紅葉・落葉期)にかけて減少する季節変化を示した。PRIとLUEともに, 季節変動パターンは概ね一致していた。一方, PRIでは, 時刻による違いが見られ, 特に生育期間では11時におけるPRIの方がわずかに大きい値となり, 変動も大きくなった(平均値, 標準偏差ともに約0.02の差)。また, LUEでは, 1日, 14時, 11時の順で全期間を通した平均値が大きく, その差はそれぞれ0.0001程度であった。以上のように, PRIおよびLUEともに, わずかではあるが観測時刻により値の違いが見られた。そのため, PRIからLUEを推定する際には, 観測時刻の違いを考慮する必要があると考えられる。
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