2008 Fiscal Year Annual Research Report
ルーメン細菌の同調調節によるルーメンアシドーシスの防御
Project/Area Number |
20780196
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
浅沼 成人 Meiji University, 農学部, 講師 (50366902)
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Keywords | ルーメンバクテリア / ルーメンアシドーシス / Streptococcus bovis / クォーラムセンシング / 増殖制御ペプチド / ComC / 転写調節 |
Research Abstract |
Streptococeus bovisはウシなどの反芻動物の第一胃やヒトなどの単胃動物の腸管内に生息する乳酸生成菌であるが、菌株によっては宿主に様々な疾病を引き起こすことがあるので、過剰な増殖を抑制することが望ましい。そこで、S. bovisの増殖制御によりルーメンアシドーシスを予防・防御することを目的として、本菌の細胞の同調調節機構を解析した。本年度はその第一段階として、増殖制御因子の一つであるペプチドフェロモンComCの遺伝子およびタンパクを同定した。ComC遺伝子(comC)のシークエンスを行ったところ、ComCの受容体として作用する、膜固定ヒスチジンキナーゼであるComD遺伝子の3つのホモログ(comD1, comD2, coml)3)と、ComDの応答因子であるComE遺伝子の2つのホモログ(comE1, comE2)がcomCの周辺に存在した。シグナル伝達に関与する遺伝子群がクラスターとして存在することが明らかになった。S. bovisのComCシグナルペプチドのアミノ酸配列は本菌に特異的であったことから、その構造やシグナルとしての役割はS. bovisに特有と考えられた。また、逆相HPLCなどを用いて培養上清から増殖制御オリゴペプチドの精製を行った。精製したペプチドをタンデムマス(MS/MS)で解析したところ、分子質量やペプチド鎖のアミノ酸配列の情報から、精製したペプチドはComCと同定された。従って、ComCが情報伝達物質として機能する可能性が示唆された。来年度は、このペプチドフェロモンの機能を解析するために、欠損変異株を作成し、どのようなタンパクの発現に影響を及ぼすかを調べる予定である。
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