2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780207
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
伴 智美 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (90378323)
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Keywords | 水牛 / 牛 / コレステロール / 脂肪酸 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
これまでの試験から、牛よりも水牛の方が消化率が高いこと、水牛の血中レプチン、インスリンおよび、コレステロール濃度が牛の1/2から1/3程度であるという結果が得られ、牛と水牛で消化性および脂質代謝に違いがあることが示唆されている。昨年度において、牛および水牛に同じ飼料を給与した16週間の肥育比較試験を行い、本年度は、昨年度行った肥育試験のサンプルを用いて、牛と水牛の消化性および脂質代謝の違いについて明らかにするための分析を行った。牛および水牛において、試験期間中の飼料摂取量や日増体量に差は認められなかったが、試験開始8週目に行った消化試験では乾物、有機物および粗タンパク質の消化率は水牛において高かった。また、消化試験期間中に採取したルーメン液について、DNAを抽出し、繊維分解菌であるFibrobacter Succinogenesのクローンライブラリーを構築し、多様性解析を行った。それぞれ50クローンの塩基配列を解読し、アミノ酸配列の進化距離に基づきoperational taxonomic units (OTUs)に分類し、LIBSHUFF解析を行った結果、これらのライブラリーは動物種間で有意に異なっていることが示された。また、脂質代謝の違いについて、試験期間中の血漿中コレステロール濃度はこれまでの試験と同様に水牛は牛に比べて有意に低い値を示し、屠殺時に採取した胸最長筋のコレステロール含量も水牛が牛に比べて低い値を示した。試験期間中の飼料摂取量に差は認められず、コレステロール摂取量に差はないと考えられ、動物種間のコレステロール濃度または含量の違いは体内でのコレステロール合成量の違いによると考えられる。胸最長筋の飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の割合は水牛が牛に比べて高かった。本試験により牛と水牛でルーメン内の繊維分解菌の種構成が異なり、この種構成の違いが牛と水牛の消化性に違いをもたらしている可能性があること、コレステロールや脂肪酸などの脂質代謝が異なることが明らかとなった。
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