2009 Fiscal Year Annual Research Report
牛、豚、鶏糞堆肥化からの亜酸化窒素発生特性と硝酸菌添加による抑制効果の検証
Project/Area Number |
20780235
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
福本 泰之 National Agricultural Research Organization, 畜産草地研究所浄化システム研究チーム, 主任研究員 (20370588)
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Keywords | 亜酸化窒素 / 堆肥化 / 豚・牛・鶏 / 窒素酸化物 / 硝化作用 / 亜硝酸蓄積 / 亜硝酸酸化細菌 / アンモニウム |
Research Abstract |
家畜排せつ物の堆肥化処理から発生する亜酸化窒素(N_2O)について、畜種毎に発生特性を把握し、総N_2O発生量のうち亜硝酸蓄積に起因する部分が大きいもの関しては、亜硝酸酸化細菌の添加によるN_2O抑制法の適応可能性について検証することになっている。小・中規模堆肥化試験を実施した結集、牛ふん堆肥化については高温発酵後速やかに亜硝酸酸化細菌が増殖するため豚ぷんのように長間亜硝酸蓄積が継続する様子は見られず、亜硝酸酸化細菌添加によるN_2O抑制効果も小さくなった。また鶏糞については150日以上にわたる長期後熟試験を継続しているが、硝化細菌の増殖や硝酸塩(亜硝酸と硝酸を含む)の蓄積はほとんど観察されておらず、そのためN_2Oの発生はそもそも大変起こりにくい類の堆肥化であると考えられた。最も亜硝酸畜積が起こりやすく、また、微生物添加による削減効果も顕著であるのが豚ぷんであるが、今回、亜硝酸蓄積がN_2Oだけでなく一酸化窒素(NO)等の他の窒素酸化物の発生も促進していることが確認され、温室効果とオゾン層破壊を持つN_2Oだけでなく、酸性雨や光化学スモッグの原因物質である窒素酸化物の発生抑制にも微生物(亜硝酸酸化細菌)添加法が効果的であることがわかつた。畜種毎に見られるN_2O発生特性の違いは、もともとそれぞれの蓄糞が持っているアンモニウム熊窒素生成可能量に関係していると考えられる。すなわち、鶏糞においてはアンモニウム含量が非常に高いため、そもそも硝化が起こらずにN_2Oが生成されず、牛ふんでは比較的低いアンモニウム含量ため硝化阻害効果が小さく、完全硝化が速やかに回復して(亜硝酸蓄積も長期化せず)後熟期におるN_2O発生量が少なくなることが示唆された。そのため、アンモニウム生成可能量とガス生成の関係について検証し、微生物添加法の適応可能範囲をアンモニウムの生成能を指標に確定する必要がある。
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Research Products
(1 results)