2008 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門プロスタグランディン輸送と薬剤誘発性血管障害機構の解明
Project/Area Number |
20790127
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 慎悟 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助教 (20466535)
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Keywords | 血液脳関門 / プロスタグランディン / 薬物相互作用 / NSAIDs |
Research Abstract |
炎症誘発物質であるプロスタグランディンE2(PGE2)は血液脳関門(BBB)を介して脳から血液方向へ排出され、その排出輸送にMRP4が関与することを明らかにすることを目的に、血液脳関門を介したPGE2の脳内から血液方向への排出輸送特性を検討した。In vivo BBBを介した脳から血液中へのPGE2排出輸送をBrain Efflux Index法を用いて解析したところ、マウス大脳に投与された[^3H]PGE2は少なくとも投与後60分まで経時的に脳から消失し、その消失半減期は12分と算出された。一方、反投与側大脳、小脳および脳脊髄液からは投与した[^3H]PGE2の0.5%以下しか検出されなかった。従って、[^3H]PGE2はBBBを介してマウス脳から消失することが示唆された。BBBにおける詳細なPGE2排出輸送分子を同定するにはBBBの実体である脳毛細血管内皮細胞のin vivo特性を反映したモデル細胞(TM-BBB細胞)を用いるのが有用である。また、siRNAを用いたRNAi法によってTM-BBB細胞に発現するMRP4をノックダウンすることで、BBBにおけるMRP4を介したPGE2排出輸送活性を特異的に評価できると考えた。しかし、マウス脳毛細血管内皮細胞はsiRNA導入効率が低い。そこで、内因性タンパク質であるGAPDH活性を指標に、TM-BBB細胞に対するsiRNA導入法を検討した。その結果、低濃度の化学修飾siRNAと今回検討した細胞毒性を引き起こさない量のliposomeを用いることによってTM-BBB細胞にGAPDH活性を最大40%抑制することが可能になった。以上の結果から、PGE2はBBBを介して脳内から速やかに消失することが示唆され、in vitro TM-BBB細胞においてPGE2輸送に関与する分子を同定するために必要なsiRNA導入法を確立した。
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