2009 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門プロスタグランディン輸送と薬剤誘発性血管障害機構の解明
Project/Area Number |
20790127
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 慎悟 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 助教 (20466535)
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Keywords | 血液脳関門 / プロスタグランディン / 薬物相互作用 / NSAIDs |
Research Abstract |
炎症誘発物質であるプロスタグランディンE2(PGE2)は脳内にその代謝酵素が存在しないことが報告されていることから、血液脳関門(BBB)を介した脳から血液方向への排出輸送が脳内PGE2クリアランスに大きく関与すると考えられた。昨年度、Brain Efflux Index法を用いた解析からそれを実証した。In vitro BBBモデル細胞であるTM-BBB細胞においてPGE2輸送分子であるMRP4タンパク質発現が確認されたことから、これが一部PGE2排出輸送に関与する可能性が推察された。一方、炎症時などに大量に産生されたPGE2が脳毛細血管に傷害を与え、これがBBB崩壊につながると考えられた。PGE2はPGE2受容体(EP)を介して作用を示すことが報告されている。RT-PCR法を用いてその発現を検討したところ、TM-BBB4細胞においてEP-1およびEP-4 mRNA発現が確認された。PGE2がTM-BBB4細胞の細胞増殖に与える影響を検討したところ、PGE2 24時間処理においてTM-BBB4細胞の細胞増殖抑制効果は観察されず、反対に、PGE2濃度増加よって細胞増殖増加効果が観察された。さらに、PGE2は炎症治療に用いられるindomethacinおよびdiclofenacによるTM-BBB4細胞への細胞毒性を抑制させた。従ってPGE2はNSAIDsによるBBB障害作用を保護する作用を有することが推察される。以上の結果から、BBBは排出MRP4を介した排出輸送過程を介してPGE2クリアランスに関与し、さらに、MRP4を介して排出されたPGE2がNSAIDsによる脳毛細血管障害に対して保護作用を示す可能性があることが示唆された。
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