2009 Fiscal Year Annual Research Report
機械受容応答を介する血管内皮透過性調節機構の解明:m-カルパインの機能解析
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20790178
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宮崎 拓郎 Showa University, 薬学部, 普通研究生 (80398693)
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Keywords | m-カルパイン / 血管内皮細胞 / シェアストレス |
Research Abstract |
血管透過性の制御に対するm-カルパインの役割を解明する目的で、マウスにおける検討を行った。m-カルパインsiRNAをマウスに投与することで大動脈弓で透過性亢進が認められたが、亢進部位では内皮細胞間ギャップの肥大化・密度増加、Rho kinase阻害剤Y-27632感受性のstress fiberの過剰形成および細胞辺縁型actinの消失が認められ、大動脈弓全体ではRhoA活性の亢進が認められた。また、大動脈弓および胸部大動脈内膜においてRho kinaseのeffectorであるLIM domain kinase 2 (LIMK2)のリン酸化状態について確認を行ったところ、m-カルパインsiRNAの投与により大動脈弓内膜においてのみリン酸化LIMK2陽性内皮細胞の密度増加が認められたが、この密度増加はY-27632を同時に投与することで抑制された。したがって、m-カルパインは大動脈弓の内皮細胞において、RhoA/Rhokinase/LIMK2経路に対して抑制的に働くことで血管内皮バリア機能を潜在的に保護している可能性が示唆される。次に、ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HuVECs)に乱流状態でシェアストレスを負荷し、層流条件下のRhoA活性変化と比較した。その結果、層流刺激を負荷したHUVECsではRhoA活性の低下が認められたが、乱流刺激の負荷ではRhoA活性の増強が認められた。細胞にm-カルパインsiRNAをtransfectionすると層流刺激によるRhoA活性低下が抑制され、乱流刺激によるRhoA活性化がさらに増強された。さらに、LIMK2のリン酸化状態について評価したところ、乱流条件下のHUVECsではLIMK2のリン酸化レベルがベースラインと比べて上昇したが、これはm-カルパインをknockdownすることでさらに増強された。したがって、m-カルパインは乱流条件下の内皮細胞において認められるRhoA亢進に対して抑制的に働きかけることで、血管内皮バリア機能保護に関与している可能性が示唆される。
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