2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト化モデルマウスを利用したニッチシステムによるヒト造血幹細胞御機構の解明
Project/Area Number |
20790238
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
八幡 崇 Tokai University, 医学部, 講師 (10398753)
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Keywords | 造血幹細胞 / ニッチ / ヒト化モデルマウス / 骨髄移植 / 再生医療 / クローン解析 / 間系幹細胞 / 細胞周期 |
Research Abstract |
ヒト造血幹細胞(HSC)集団の中で主に移植早期の造血再構築を担う幹細胞集団(STRC)と長期造血再構築を担う幹細胞集団(LTRC)の存在が報告されている。我々は個々のヒトHSCの生体内動態をLAH-PCR法を利用してクローンレベルで解析する実験系を確立し、STRCとLTRCの解析を行った。その結果、LTRCは恒常的にSTRCを産生し、CD34(+)細胞集団の中で個々のヒトHSCに特徴的な幹細胞活性、すなわち、分化能、自己複製能の違いによる階層性を構築することをクローンレベルで明らかにした。さらに、二次移植可能なLTRCクローンは、一次移植マウス骨髄内では極めて小さいクローンとして存在し、二次移植されることによって、クローンサイズが増幅するということを見いだした。このことから、一次移植骨髄内では、LTRCクローンは休止期状態にあることが予想された。そこで、この一次移植骨髄内における細胞周期を解析したところ、休止期状態にあるCD34(+)細胞はCD38抗原が陰性であった。さらに、一次移植マウスの骨髄内CD34(+)細胞のLTRC活性を測定するためにCD34(+)細胞をCD38抗原の発現強度に応じて分離し、二次移植を行ったところ、休止期にあるCD34(+)CD38(-)細胞のみが二次移植された。次に、ヒト造血細胞が生着したNOGマウス骨髄内の組織学的解析を行った。その結果、休止期状態にあるヒトCD34(+)細胞の多くは骨内膜周辺領域に存在し、骨芽細胞や血管内皮細胞と相互作用していることを見いだした。さらに、我々はヒトMSCを骨髄内に移植することにより、ヒトニッチをマウス骨髄内に再構築する実験系を確立し、さらなる解析を行ったところ、HSCはreticular cell、骨芽細胞、血管内皮細胞等に分化し、休止期CD34(+)と相互作用していることを明らかにした。興味深いことに、ヒトニッチを再構築することにより、CD34(+)CD38(-)細胞数の増加が認められた。
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