2008 Fiscal Year Annual Research Report
Panton-Valentineロイコシジンの毒素活性発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
20790331
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
西山 晃史 Niigata University, 医歯学系, 助教 (80452069)
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Keywords | 市中感型MRSA / Panton-Valentineロイコシジン / 毒素活性 / 細菌 / 感染症 |
Research Abstract |
市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(市中感染型MRSA)は薬剤による圧力の少ない市中で感染を繰り広げる新しいタイプのMRSAである。主に、病院と接点のない健康な小児や若い運動選手などが感染し、皮膚・軟部組織疾患(SSTI)を惹起するが、一部で重症化して致死性の市中肺炎、若年スポーツ選手の再燃性骨盤膿瘍などを引き起こす。市中感染型MRSAは特徴として細胞障害毒素Panton-Valentineロイコシジン(PVL ; LukS-PV、LukF-PV)を産生する。PVLは壊死性病変の主因と考えられているが、その発症メカニズムは未だ解明されていない。PVLの好中球に対する高い親和性から、好中球の細胞障害を介した組織障害が提案されているが、近年、他の細胞種への直接的作用も注目されている。本研究では、様々な細胞種へのPVLの作用を比較解析することで、組織障害におけるPVLの役割を予測することを目的としている。本年度は、(1) 日本におけるPVL産生市中感染型MRSAの分離動向を継続して調査し、分子疫学的解析を行った。その結果、これまで日本で分離されたST30型以外に米国で流行するST8型(USA300)の日本への流入を初めて見出した。(2) PVLの各ヒト免疫細胞(好中球、単球、リンパ球)への作用を比較検討した。PVLは低濃度(10nM)で好中球の細胞溶解を誘導するにも関わらず、単球系細胞はその10倍濃度でも形態変化を起こさないことを明らかにした。一方で、単球系細胞はPVLの刺激に反応し、炎症性サイトカインを産生する。現在、さらにPVLの結合様式、細胞内シグナルに注目し、各細胞の応答の違いを解析中である。
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Research Products
(3 results)