2008 Fiscal Year Annual Research Report
病原性大腸菌O157のStx2産生量を規定するStx2ファージの遺伝的特性の解明
Project/Area Number |
20790339
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小椋 義俊 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (40363585)
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Keywords | 感染症 / 微生物 / 毒素 / 遺伝子 / ゲノム |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌O157感染症において、Stx2産生性は重症化リスクファクターの1つであるが、Stx2産生量は株間で大きく異なる。本研究課題では、Stx2高産生株由来のStx2ファージとStx2低産生株由来のStx2ファージを比較することで、Stx2産生性の違いに起因する遺伝的特徴を明らかにすることを目的としている。Stx2高産生性ファージの配列は既に取得しているので、低産生性ファージの配列決定を行った。 まず、福岡市保健環境研究所より分与を受けた11株のStx2低産生性株について、RPLA法を用いてStx2量を定量し、Stx2低産生性を確認した。このうち、特に産生量の低い1株を選択し、フォスミドライブラリーを作成し、PCRにてstx2陽性クローンを選別した。そのクローンのランダムショットガンシークエンシングと、プライマーウオーキング法により、約60kbのStx2ファージ全長の配列を決定した。決定したファージ上に約10kbのPCRプライマーペアを6セット設計し、残りの10株について、PCRスキャンニングを行ったところ、サイズにバリエージョンはあるものの、全株で6ペアすべての増幅産物が得られた。一方、Stx2高産生株では、いずれのPCR産物も得られなかった。このことから、11株のStx2低産生株は由来が同じStx2ファージを保持していると考えられた。 次に、日本各地で分離された100株のO157について、Stx2産生量とStx2ファージのPCRスキャンニングを行った。低産生株については、低産生性ファージのPCRプライマーでほぼすべて増幅産物が得られたが、高産生性ファージのプライマーでは、高産生株の内、8株でほとんど増幅されなかった。これらの株は、新規のStx2高産生性ファージを保有していると考えられるため、現在、そのうちの1株のStx2ファージの配列を決定しているところである。
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