2011 Fiscal Year Annual Research Report
劇症型溶連菌感染症臨床分離株で発現が増加している毒素の機能とその発現機構の解明
Project/Area Number |
20790345
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
池辺 忠義 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (20333362)
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Keywords | 劇症型溶連菌感染症 / Streptococcus pyogenes |
Research Abstract |
これまでの研究において、劇症型溶連菌感染症臨床分離株において、csrR/csrS遺伝子以外に、rgg遺伝子に変異が起きており、この変異は、劇症型溶連菌感染症臨床分離株の約15%でみられるが、咽頭炎などの非劇症型感染臨床分離株では、3.4%しかこの遺伝子に変異が見られなかった。このことから、このrgg遺伝子の変異は、劇症型感染症に重要な役割をしていることが考えられた。rgg遺伝子の変異が、in vivoで病原性に影響を与えるか調べるため、マウスをもちいた動物実験を行った結果、rgg遺伝子に変異が存在すると、致死性が増大し、腎臓などの臓器に障害を与えることが判明した。この遺伝子の変異によって、どのような病原性遺伝子の発現が上昇するか調べた結果、rgg遺伝子に変異がある株において、細胞障害毒素をコードするslo,nga遺伝子、ストレプトキナーゼをコードするska遺伝子、αマクログロブリン結合タンパク質をコードするgrab遺伝子の発現が上昇していた。一方、csrS遺伝子変異株で上昇していたIL-8プロテアーゼをコードするscpC遺伝子は、rgg遺伝子の変異にかかわらず発現の上昇は見られなかった。本年度は、rggおよびcsrS/csrR遺伝子変異株に共通して遺伝子発現が上昇する病原性因子に注目し、これらの病原性因子が、マウスの致死性にどれだけ寄与しているか調べることを目的とした。まず、slo,nga,ska,grab遺伝子の破壊株を作製した。これら破壊株をマウスの腹腔内に接種した結果、slo,nga,ska破壊株では、マウスの致死性が減少したが、grab遺伝子の変異株では、致死性の減少は見られなかった。これらslo,nga,ska遺伝子は、csrS変異株でも上昇することから、劇症型感染症の病原性に重要な因子であることが考えられた。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Molecular Epidemiology of group A Streptococcus isolated from patients with severe invasive infections in Japan during 2004-20102011
Author(s)
Ikebe T, Katsukawa C, Ohya H, Suzuki R, Oguro Y, Tominaga K, Shima T, Isobe J, Ogata K, Okuno R, Fujimoto T, Tada Y, Okabe N, Ohnishi M, Watanabe H, The Working Group forβ-hemolytic Streptococci in Japan
Organizer
XVIII Lancefield International Symposium
Place of Presentation
Italy, Palermo
Year and Date
20110904-08
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