2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 晋弥 The University of Tokyo, 医科学研究所, 特任研究員 (90466839)
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Keywords | 新型インフルエンザ / レセプター認識 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスの感染は、ヘマグルチニン[HA]がレセプターと結合して始まる。ヒトのウイルスは主にヒト型レセプターを認識し、鳥のウイルスは鳥型レセプターを認織する。このレセプター特異性の違いが宿主域を大きく左右する。ヒトで毎年流行しているH3N2ウイルスのHAタンパク質の変遷を解析したところ、1968年のヒト社会での出現以降、表面電荷が変化していることがわかった。年々、正電荷が蓄積しており、それは鳥のH3N2には見られない特徴であった。そこで、烏のウイルスや1968年当初と、近年のヒト分離株のレセプター結合において質的な違いがあるのか否かを調べた。1968年の株や鳥分離株は塩濃度に依存しない結合力でレセプターと結合していたが、近年のヒト分離株は塩濃度に依存していたことから、レセプター認識が電荷に依存したものに変化したことが示唆された。これはヒトへの適応の一端であると推測された。更に、ヒトから分離され、ヒト型レセプターを認識するH5N1ウイルスのレセプター結合性を調べたところ、正電荷への変異によってヒト型レセプターを認識するようになっていた株は、塩濃度に依存した結合力でレセプター結合を行っていた。これらのことから、ヒトへの適応において、電荷依存的なヒト型レセプター認識を行うように変化しうることが示唆された。今後、更に、ウイルス粒子が正電荷に帯電することが、ヒトからヒトへの伝播にどう影響するかについて、よりマクロな視点で解析を進める予定である。
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Research Products
(1 results)