2008 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの高齢者の終末期医療をめぐる事前指示に関する国際比較研究
Project/Area Number |
20790394
|
Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
鶴若 麻理 St. Luke's College of Nursing, 看護学部, 助教 (90386665)
|
Keywords | アジア / 高齢者 / 事前指示 / 終末期医療 |
Research Abstract |
本研究「アジアの高齢者の終末期医療をめぐる事前指示に関する国際比較研究」では、日本、シンガポール、台湾、韓国の終末期医療の現状把握と高齢者の終末期ケアの意思決定に関連するリビングウィルについて、現状と課題を明らかにし、わが国の終末期医療をめぐる事前指示について検討することである。平成20年度は、台湾のリビングウィルに関する法律や高齢者の終末期ケアの事前指示への意識についてプレ調査を実施した。 台湾ではリビングウィルに関する法律は、2000年5月23日に『安寧緩和医療條例(Hospice PaUiative Care Act)』として制定され、2000年6月7日から施行されている。この『安寧緩和医療條例』の目的は、回復の見込みのない末期状態にある患者の終末期医療に関する意向を尊重し、その権利を守るためである。この法律には、医療における事前指示、つまり自分に行われる終末期医療について事前に文書にして示しておくというリビングウィル(Living Will)と、代理人の委任などが含まれている。 現在、登録者はまだ1万5千人足らずであるという。6名の台湾の高齢者にリビングウィルについてプレインタビュー調査をした。この法律について知らない人がほとんどであったが、関心は高い。ただいのちの終わりについて家族と話し合うことに抵抗があったり、家族が署名に協力的でないことへの悩み、相談できる専門家がほしいなどの希望があるようだ。広報活動もさることながら、医療者による相談活動なども実施することがさらなる一般市民への理解の助けとなるのではないかと思われた。今後は、他の国々の現状を把握し、文化や社会的背景をもふまえ、わが国におけるリビングウィルの適用可能性について検討したい。
|
Research Products
(3 results)