2009 Fiscal Year Annual Research Report
アジアの高齢者の終末期医療をめぐる事前指示に関する国際比較研究
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20790394
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
鶴若 麻理 St. Luke's College of Nursing, 看護学部, 助教 (90386665)
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Keywords | アジア / 高齢者 / 事前指示 / 終末期医療 |
Research Abstract |
本研究「アジアの高齢者の終末期医療をめぐる事前指示に関する国際比較研究」では、日本、シンガポール、台湾、韓国の終末期医療の現状把握と高齢者の終末期ケアの意思決定に関連するリビングウィルについて、現状と課題を明らかにし、わが国の終末期医療をめぐる事前指示について検討することである。平成21年度はとくに、シンガポールのリビングウィルに関する法律や高齢者の終末期ケアの事前指示に関する文献収集、および生命倫理に関する各国の法律や国家委員会について調べた。 シンガポールでは、1996年にアドバンス・メディカル・ディレクティブ(Advance Medical Directives Act:以下AMD法とする)が法制化されているが、普及率が極めて低い。シンガポールは、北米とは文化的背景が異なり、儒教の精神が根づいているということからも、シンガポールにおいて、リビングウィルが普及していない要因や背景を検討することは、日本のリビングウィルの適用可能性を考えていく上で、参考になると考えられる。 シンガポールのAMD法成立までの状況や成立後のいくつかの調査から、普及率が低い要因として考えられているものは、まず死のタブー化があげられた。シンガポールにおいて、AMDに関する調査は極めて少なかった。ヒアリング調査によれば、その理由はAMDの調査をすることは、すなわち死について語ることにつながっているからだと指摘されている。次に、AMD作成プロセスが、家族の役割が重視されていない形になっていることである。シンガポールではAMD作成において、事実上身近な家族が証人となることが難しい。家族との関係性の中での自己決定をしていくということを配慮しながら、わが国やアジアの国々における医療における事前指示の適用可能性について検討したい。
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Research Products
(4 results)