2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスタミン拮抗薬d-マレイン酸クロルフェニラミンの過敏性腸症候群への効果の検討
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20790470
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相模 泰宏 Tohoku University, 病院, 助教 (90375030)
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Keywords | 過敏性腸症候群 / ヒスタミン / クロルフェニラミン / 消化管運動機能 / 消化管知覚機能 |
Research Abstract |
研究目的:抗ヒスタミン薬であるd-マレイン酸クロルフェニラミンのIBSへの効果を1)大腸運動・知覚機能、2)精神神経機能、の二つの側面から検討する。 対象グループは、 1.健常者成人男女10名(Healthy Control : HC、男女各々5名) 2.IBS成人男女(生食投与群)10名(IBS-saline : IBS-S、男女各々5名) 3.IBS成人男女(d-マレイン酸クロルフェニラミン投与群)10名(IBS-H1RA : IBS-H、男女各々5名) 平成21年度には被検者16人のデータを測定しえた。特にIBSの生食投与群およびd-マレイン酸クロルフェニラミン投与群を中心に測定した。内訳は、IBS生食投与群が9人、IBS d-マレイン酸クロルフェニラミン投与群が7人である。 大腸の拡張刺激に対する知覚閾値は、健常者に比してIBSの両群で低値となる傾向がみられ、IBSの内臓知覚過敏を示唆する結果となった。また、健常群、IBS生食投与群では、大腸知覚閾値は測定を繰り返すと低下するのに対して、d-マレイン酸クロルフェニラミン投与群では、薬物投与後の繰り返し測定にて大腸知覚閾値が上昇するという所見が得られた。この所見は、IBSの内臓知覚過敏をd-マレイン酸クロルフェニラミンが抑制する可能性を示すものと考えられ、IBSの病態や治療を検討していくのに重要な知見になりうると思われる。
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