2008 Fiscal Year Annual Research Report
漢方薬による副作用発症機序とトランスポーターとの関連
Project/Area Number |
20790475
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
牧野 利明 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 准教授 (80326561)
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Keywords | グリチルリチン酸 / 甘草 / 偽アルドステロン症 / 有機アニオントランスポーター / ヒドロキシステロイド脱水素酵素 / グリチルレチン酸 / 漢方薬 / 副作用 |
Research Abstract |
甘草を含有する漢方薬には、偽アルドステロン症という比較的頻度の高い副作用が知られている。その原因は、含有成分の代謝物グリチルレチン酸(GA)が腎尿細管上皮細胞内に存在する11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)2を阻害するためとされている。しかし、臨床報告によれば偽アルドステロン症発症患者の血中にはもう一つの代謝物3-モノグルクロニルグリチルレチン酸(3MGA)血中濃度が高いこと、ラット肝線維症モデルで血中、尿中3MGA濃度が上昇しているいっぽうで、GAは尿中には排泄されないことから、GAは尿細管分泌により排泄されず、生体内では11β-HSD2を阻害することが出来ないものと予想された。そこで、3MGAが真の偽アルドステロン症の原因成分であるという可能性を明らかにするために、GAおよび3MGAのラット腎スライスへ取り込みについての実験を行った。GAおよび3MGAは、アルブミン結合率が99.9%以上と高く、単純拡散では血液中から組織へ移行しにくいと予想された。しかし、GAおよび3MGAは、濃度依存的に腎スライスに取り込まれ、1000μMまで飽和することはなく、また、GAと3MGA間ではその差は認められなかった。さらに詳細に検討をしたところ、GAおよび3MGAは実験容器や腎スライスへの吸着が無視できないほど大きく、腎スライスへの取り込みとして測定された値は、その大部分が表面への吸着を評価していることが予想された。尿細管上皮細胞内へのGAおよび3MGAの輸送正確に測定するためには、さらなる実験系の改善が望まれる。
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Research Products
(1 results)