2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790476
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
池島 信江 (獅子王 信江) Osaka City University, 大学院・医学研究科, 研究員 (50420401)
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Keywords | ストレス科学 / 疲労 / 下垂体ホルモン / 分子生物学 / 免疫 |
Research Abstract |
過労負荷を3日間かけたラット(過労モデルラット)の下垂体中間葉では、メラノトロフのホルモン産生分泌の亢進が観察され、末梢血中のα-melanocyte stimulating hormone(以下α-MSH)の上昇が観察される。さらに5日間まで過労負荷が延びると、下垂体中間葉のメラノトロフは長期に渡る過剰な活性化により一部が変性に至る。そこで本研究では、過労ラットで見られる末梢血中α-MSHの変動が、慢性的な疲労下にあるヒトにおいても観察されるかどうかを検討した。対象は、慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome,以下CFS)と診断され罹病期間10年以内で、研究の趣旨を理解して同意を得られた患者の血漿55検体を選抜した。コントロール群には、性別比、年齢分布を揃えた健常者の血漿30検体を用いた。血漿中α-MSHの濃度は、Radio Immuno Assay(RIA)にて測定を行った。血漿中α-MSH濃度はCFS群では18.0±7.6g/mL、コントロール群では14.5±5.7pg/mLを示し、CFS群のほうが有意に高い値を示した(p<0.05)。さらにCFS群におけるα-MSH濃度と罹病期間との間に有意な逆相関が見られた(p<0.05,rs=-0.27)。罹病期間に対して5年以内と5~10年の2群にわけたところ、5年以内の群(n=27)では20.7±6.9pg/mLを示し、健常人の値よりも有意に高い値が見られた(p<0.01)。一方、5~10年の群では15.6±7.4pg/mLを示し、健常人の値と有意な差が見られなかった。これらの結果は、α-MSHが早期(罹病5年以内)の慢性疲労症候群を診断するバイオマーカーの一つになること示唆する。また、今回ヒトで得られた結果は過労モデルラットの結果と同様であり、過労ラットによる疲労研究の有用性を支持した。
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Research Products
(10 results)