2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルドステロン負荷腎障害モデルにおけるオステオポンチン発現機序及び抑制効果の解明
Project/Area Number |
20790595
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
入田 純 Ehime University, 医学部・附属病院, 医員 (00423442)
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Keywords | オステオポンチン / アルドステロン / 腎線維化 / オステオポンチンノックアウト |
Research Abstract |
本研究の目的は、アルドステロンによる腎線維化のメカニズムに線維化促進蛋白であるオステオポンチン(OPN)が強く関与しているとの仮定の下、そのメカニズムの解明およびOPNを直接制御することが、腎機能障害の治療ターゲットとなりうるか、OPNノックアウト(OPN-KO)マウスを用いて検討することである。 8〜10週令のC57/BL6Jマウス(WT)とOPN-KOマウスを用いて、片腎摘出後4週間、浸透圧ミニポンプによりアルドステロン0.15μg/時間で持続注入、高食塩水負荷にて腎障害モデルを作成した。アルドステロン負荷マウスで血圧は有意に上昇したが、WTマウスとKOマウスでは差を認めなかった(Tail cuff法)。メタボリックグージにて畜尿を行い、一日尿中アルブミン量を評価したところ、WT-アルドステロン負荷マウスと比較して、KO-アルドステロン負荷マウスでは一日アルブミン排泄量は低値であった。マッソントリクロム染色による組織学的検討ではWT-アルドステロン負荷マウスにおいて腎線維化が促進し、Real time PCR法にてOPN遺伝子と各種コラーゲン遺伝子の発現増加を認めた。免疫組織学検討では、WT-アルドステロン負荷マウスにて尿細管間質にOPNタンパク、F4/80(ヤクロファージ関連タンパク)とFSP-1(繊維芽細胞関連タンパク)の発現増加を認めた。KO-アルドステロン負荷では、腎線維化巣は縮小し、線維化関連遺伝子及びタンパク発現は抑制されていた。 以上から、アルドステロンにより腎尿細管にOPNの発現が増加し, 腎線維化が誘導されることが示された。そしてOPNをノックアウトすることによる腎保護効果が示唆された。アルドステロンによって誘導されたOPNは腎線維化の直接的な原因と考えられ、OPN制御が将来的な同疾患の進展予防に寄与するものと考えられる。
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