2008 Fiscal Year Annual Research Report
発達段階特異的なアドリアマイシン投与によるVATER連合発症機構の解明
Project/Area Number |
20790773
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内藤 陽子 Keio University, 医学部, 助教 (80348705)
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Keywords | VATER連合 / アドリアマイシン / ニワトリ胚 / caudal eminence / 前腸 |
Research Abstract |
VATER連合は脊椎形成異常(V), 鎖肛(A), 食道閉鎖および気管食道瘻(TE), 橈骨および腎(R)の異形成の組み合わせから成り立つ。本疾患に多数の奇形が発症する機序は、発生初期のblastogenesis期の障害による、とされているのみで、実験に裏付けられた根拠は乏しい。 本研究では、ニワトリ胚に発達段階特異的にADRを投与することで、VATER連合のニワトリ胚モデルの作成に成功した。Hamburger Hamiton(HH)stage 10-13ニワトリ胚芽へのADR 2-5μg投与により、尾部退行、食道閉鎖、気管・肺無形成が特異的に誘導され、ADRによる奇形発症の臨界期はHR stage 10-13であることが明らかとなった。これは、ヒト胎生22日から26日(Carnegie stage 10-11)に相当する。また、ADR投与量が1μg以下では同様の奇形は誘導されず、ADRによる奇形発症は薬物濃度に依存していると結論した。更に本モデルでは、ADRの自家蛍光能を利用し、薬剤の胎内分布を観察することに成功した。その結果、ADRは脊索、体節、後腸、神経管、下肢、血管の発生に関与するcaudal eminenceと、前腸上皮に集積することを確認した。組織学的な評価では、ADR投与胚芽の尾側組織において神経管および体節に強い壊死性変化を認めた。 以上より、臨界期にADRがcaudal eminenceと前腸上皮を同時に破壊した可能性、またその機序として、ADRは分裂中の2重鎖DNAに入り込んで複製を阻害することにより抗腫瘍作用を発揮することから、この時期に主に分裂が盛んな尾部および前腸の未分化細胞が障害されて奇形が誘導された可能性が示唆された。
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