2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素イオン線治療で悪性脳腫瘍を完治させるための基礎的研究
Project/Area Number |
20790877
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鈴木 義行 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 講師 (60334116)
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Keywords | 炭素イオン線 / 悪性脳腫瘍 / 遊走能 / 増感剤 / ニューロン |
Research Abstract |
炭素イオン線による悪性脳腫瘍の治療戦略を作成するうえでため、 (1)脳組織の炭素イオン線耐容線量に関する検討(追加解析)、(2)(新規抗がん剤併用時の)悪性脳腫瘍細胞の遊走能抑制・照射効果増強に関する検討、などについて研究を行った。 1)正常脳神経細胞における、炭素イオン線のX線に対する生物学的効果比(RBE) 前年度の結果に追加解析を行った。アポトーシスを指標とした場合、炭素イオン線の、未熟(生後7日目)な脳神経細胞に対する殺細胞効果は、X線の約10倍と著名に高く、脳腫瘍に対する重粒子線治療を行う際には、未熟な神経細胞が存在する海馬付近への照射線量を減らす必要があることが判明した。(論文投稿中) 2)ヒト悪性脳腫瘍細胞・マウス脳内移植モデルにおける、テモダール(TMZ)およびAMPAR拮抗薬(GYKI52466)併用放射線治療 マウス脳内移植モデルにおいて、TMZ併用により1.6倍の腫瘍縮小効果が認められた。また、TMZにさらにGYKI52466を併用することで、約10%の腫瘍縮小効果増強が認められた。腫瘍細胞の遊走については、X線単独で増強したが、TMZもしくはGYKI52466を併用することで完全に抑制された。X線単独では、抗腫瘍が小さいだけでなく腫瘍細胞の遊走能増強をもたらすことが、再発の一因であることが示唆され、TMZ等の併用が必要であることが示唆された。炭素イオン線による実験については、現在施行中である。 3)ヒト悪性脳腫瘍細胞における、X線によるAkt,PDK1の発現 X線によりAkt,PDK1の発現増強が認められ、また、PDK1の発現増強は脳腫瘍細胞の遊走能増加と関連し、臨床検体における活性型Akt・PDK1発現の増強は予後不良因子であった。(論文投稿中)
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Research Products
(16 results)