2008 Fiscal Year Annual Research Report
温熱療法と高気圧酸素治療の2者併用による化学療法、放射線治療の増感効果の検討
Project/Area Number |
20790915
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大栗 隆行 University of Occupational and Environmental Health, Japan, 医学部, 助教 (80469395)
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Keywords | 温熱療法 / 高気圧酸素治療 / 化学療法 / 放射線治療 / 低酸素細胞 |
Research Abstract |
予備実験としてC3Hマウスの大腿部にSCCVII腫瘍を担癌し、腫瘍増殖速度の確認を行った。6×10^6/mlのSCCVIIを注入することで、7-10日後に10mm大に増殖することが分かった。抗がん剤投与量は、過去の同様の実験結果を参考にパクリタキセル15mg/kgおよびカルボプラチン25mg/kgを腹腔内投与することとした。温熱療法は41.5度の恒温槽に専用のマウス固定台を作成し、非麻酔の状態で担癌肢全体を加温し、腫瘍内温度を41.0〜41.5度に保てることを確認した。高気圧酸素療法は、動物実験用の高気圧タンクを使用し、通常の臨床実施プロトコールに基づき、100%酸素を用い15分の加圧、2気圧に達した状態で60分、減圧15分を施行することとした。さらに腫瘍組織内の酸素分圧を経時的に測定できるように、高気圧タンク内に酸素分圧測定装置用の電極を増設した。初期実験として、5-20mm大と、あえて腫瘍径の異なる状況で各種治療を行い、治療効果を検討した。各治療法は、我々が臨床実施した順番(抗がん剤投与→温熱療法→高気圧酸素療法)に基づき行い、温熱療法と高気圧酸素療法の抗癌剤の抗腫瘍効果の増強程度を検討した。結果として腫瘍径が15-20mmと大きい状況で治療を行った場合は、5-15mmと小さい場合に比較して、温熱療法や高気圧酸素療法による抗癌剤の腫瘍縮小効果の増強は強くみられた。この結果は、腫瘍径の大きい場合は腫瘍内の低酸素領域が増加しているものと推測され、温熱療法や高気圧酸素療法による増強効果が高く得られた可能性があり、われわれの予測した機序に合致するものと思われた。しかし、同実験は抗癌剤を2剤併用したものであるため、次年度は各抗癌剤において、どの程度増強効果が認められるかを個々に検討し、さらに、治療中の腫瘍内の酸素濃度を経時的に測定し、酸素分圧の変化と抗腫瘍効果の関連を検討する。
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