2008 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患に合併する肺高血圧症に対する血管内皮増殖因子と低酸素誘導因子の影響
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20790979
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳永 千穂 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30451701)
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Keywords | 肺高血圧 / 血管内皮細胞増殖因子 / 低酸素誘導因子 / 先天性心疾患 |
Research Abstract |
平成20年度には 肺高血圧を合併した先天性心疾患児(心室中隔欠損、両大血右室起始症、房室中隔欠損症、大血管転移症など)に対して心エコー検査による確定診断ののち、まず術前圧データとして心カテーテル検査で心内圧データを採取した。肺動脈圧、右室圧、体血圧、中心静脈圧および肺体血流比を計測し術前データとし、また動脈血酸素飽和度、血液ガスデータも可能であれば採取した。 そして手術前麻酔導入後に動脈血採血0.5mlをサンプル行いサンプル血は5000bpmで10分間遠心し血清を分離したのち、-80℃で保存した。 根治術後に, 肺動脈もしくは右室に直接圧ラインを挿入し肺動脈圧、右室圧を計測。同時に動脈圧ラインと中心静脈圧ラインから体血圧と中心静脈圧を計測する。動脈血可能であれば酸素飽和度、血液ガスデータも採取した。 術後は術直後、第1病日、第7病日に同じく0.5mlの動脈採血を行い、上記のように血漿を分離し-80℃で保存した。 血清VEGFの測定はQuantikhle enzyme linked immunoabsorbent assay kit (R & D systems, Minneapohs, MN, USA)を用いて行った。サンプルはtriphcateして計測し、その平均値を測定値とすることとした。これら心疾患患者の血中VEGF値がこの測定キットの測定範囲内にあるかどうかが不明であるため、予備実験としてそれぞれのサンプルを異なる濃度に希釈し血清VEGF濃度の測定をまず行った。コントロールとしては肺高血流および肺高血圧の無い小児の血液サンプルを用いた。添付文書によるhuman血清VEGF値は62〜707pg/mlであるのに対してコントロールでは65.9pg/mlであった。また対象サンプルではそれぞれを1倍、5倍、10倍、100倍に希釈しそれぞれ血清サンプル値を測定したがいずれの希釈倍率でも1000〜1500pg/mlと高値を示した。このキットの測定可能値の範囲は2000pg/mlであるため血清サンプルの希釈は不必要もしくは5倍希釈が妥当と考えられた。また1回の測定に100μlの血清が必要であるためtriplicateして測定するために最低400μlの血清が必要であるため採血量が0.5mlでは測定に十分でないことが判明した。このため可能であれば最低1.5mlの血液を採取し血清を分離する必要があると考えられた。今後もさらにサンプル量を増やし血清VBGF濃度の測定を行っていく予定である。また組織低酸素因子のタンパク量測定のためのwesternblotの設備を準備し今後タンパク量測定のための予備実験を行っていく予定である。
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