2010 Fiscal Year Annual Research Report
先天性心疾患に合併する肺高血圧症に対する血管内皮増殖因子と低酸素誘導因子の影響
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20790979
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
徳永 千穂 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (30451701)
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Keywords | 肺高血圧症 / 血管内皮細胞増殖因子 / 高感度放射光微小血管撮影法 / shearstress / ラット高血流性肺高血圧症モデル |
Research Abstract |
先天性心疾患に合併する肺高血圧症は体-肺シャントによる増加した肺血流量とshear stressが肺血管抵抗の増加を引き起こすことに起因すると考えられている。また、治療が行なわれない場合には、病理組織学的には肺最小動脈のびまん性狭窄と閉塞を認めこれにより血管抵抗がさらに増加し肺血管障害が進行すると推測される。この肺血管病変の進行のメカニズムには高肺血流のshear stressによる内皮細胞障害が関与しており、さらには先天性心疾患にしばしば合併するチアノーゼによる組織低酸素がさらにその進行を促進する因子となっている可能性が高い。これらの内皮細胞障害のマーカーとなるVEGF(血管内皮増殖因子)の値の推移を高肺血流量肺高血圧症において調査し、さらに肺高血圧症との相関関係を調べ、肺高血圧症の進行度を評価する新たな指標とすることを本研究の目的とした。さらに本年度はより詳細な高流量性肺高血圧症と血管内皮細胞障害の関連を調べるため、ラットに腹部大動脈下大静脈シャントを作製し高流量性肺高血圧症モデルラットを作製し、高感度放射光微小血管撮影法をもちいて肺動脈造影を行い流量とshear stressを計測することを目的とした。生体で非侵襲的に肺動脈のshear stress肺を画像化し定量化する試みは技術的な困難から今まで実現していないが、我々は高エネルギー加速器研究機構放射光研究施設との共同研究において、造影剤を用いた放射光微小血管撮影の技術開発を行った。高流量肺高血圧症モデルラットの頸静脈から肺動脈造影を行い細動脈組織の構造変化と流量、shear stressの関係と血管内皮細胞増殖因子との関連を調査した。これにより、高肺血流量肺高血圧ラットにおいて、肺細動脈の流量およびshear stressの増加が指摘された。
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