2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷に対するコンドロイチナーゼABC,ケラタナーゼの治療効果
Project/Area Number |
20791029
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
今釜 史郎 Nagoya University, 医学部・附属病院, 医員 (40467288)
|
Keywords | 脊髄損傷 / ケラタン硫酸 |
Research Abstract |
コンドロイチン硫酸(CS)は中枢神経系の軸索再生阻害因子であり、CSの分解酵素であるコンドロイチナーゼABC(C-ABC)は脊髄損傷の治療に期待されている。しかしその作用機序やメカニズムは未だ十分に解明されていない。われわれはCSと同系統のケラタン硫酸(KS)に注目し、脳損傷モデルでKSは損傷部でupregulateされ軸索伸長を阻害すること、KSのKOマウスでは脊髄損傷後、有意に運動機能が回復することを確認してきた。本研究の目的は脊髄損傷におけるKSの機能の解明及び神経軸索再生への影響、KS分解酵素であるKeratanase 2(KSase 2)による脊髄損傷後の機能回復を明らかにすることである。【方法】成体ラットに胸髄圧挫損傷を作製し、脊髄損傷後のKS発現をHPLCで経時的に定量した。次にKSase 2、C-ABC、vehicleをクモ膜下腔に持続投与し、運動機能評価、電気生理学的評価、組織学的検討、順行性トレーサー試験を行った。in vitroでは、プロテオグリカン(PG)で抑制した小脳顆粒細胞の神経軸索伸長をKSase 2、C-ABC添加後24時間で計測した。 【結果】KS発現は、1週間をピークに増加し、その後漸減していた。HPLC、Western blotで損傷後1週のKS発現はKSase 2投与群で有意に抑制された。in vitroでPGコーティングにKSase 2、C-ABCを添加すると有意に軸索伸長が促進された。BBB scoreなどで評価した運動機能は、KSase 2、C-ABC投与群で有意に良好な回復を示した。損傷後8Wの電気生理でも有意に回復し、Gap43、5HT、CGRPの組織学的検討ではKSase 2投与群で陽性fiberを有意に多く認めた。トレーサー試験でもKSase 2投与群で有意に損傷部を越えるfiberが確認された。【考察】神経再生にPGは抑制的に作用するが、損傷後脊髄ではCS同様KSも発現が多かった。KS分解により、軸索伸長阻害作用が解除され、有意に良好な運動機能回復を認めた。【結論】脊髄損傷急性期にKS分解酵素であるKSase 2を投与し、C-ABC投与群以上の運動機能回復が得られた。KSase 2は脊髄損傷の有効な治療の一つとなり得る。
|
Research Products
(1 results)