2008 Fiscal Year Annual Research Report
力学的負荷変動時に、骨細胞で制御される骨芽細胞を介した破骨細胞活性化因子の探索
Project/Area Number |
20791047
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森石 武史 Nagasaki University, 医歯(薬)学総合研究科, 技術職員 (20380983)
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Keywords | 骨細胞 / 力学的負荷 / RANKL / 破骨細胞誘導 / 骨芽細胞 / Bc1-2 |
Research Abstract |
当講座で得られた骨芽細胞特異的Bcl-2トランスジェニックマウス(tgマウス)は、骨芽細胞の分化障害により骨細胞の細胞突起の形成が悪く、週齢を経るに従って皮質骨中の60-80%の骨細胞がアポトーシスにより死滅していた。生理的な状態で、皮質骨骨細胞死の割合と逆相関して皮質骨内骨膜上の破骨細胞数が減少し、また、4ヶ月齢tgマウスで尾部懸垂実験を行うと、野生型マウスと比較して大腿骨遠心部二次綿骨の骨量が減少せず、破細胞の誘導が起こっていなかった。本年度は、非荷重時にtgマウスで破骨細胞が誘導されない原因を、(1) 骨細胞そのものに異常がある、のか、(2) 骨細胞同士の細胞連絡の途絶によって破骨細胞誘導のシグナルが骨細胞から骨芽細胞に伝わっていない、のか突き止めるため、様々な週齢のtgマウスを用い解析を行った。皮質骨中の骨細胞が10%程しか死んでいない6週齢tgマウスを用いた1週間の尾部懸垂実験では、野生型マウスと同様に大腿骨遠心部二次海綿骨の骨量が有意に減少した。また、これらのマウスの長管骨皮質骨からtotal RNAを抽出し、骨細胞特異的に発現する遺伝子(Dmp1, Sost, Phex, Egf23, Mepe)の比較を行ったところ、野生型マウスとtgマウスの骨細胞でこれらの遺伝子の発現に差異は認められなかった。同様に、4ヶ月齢tgマウスを用いて3日間の尾部懸垂実験を行い、大腿骨および脛骨の骨芽細胞分画・皮質骨分画からtotal RNAを抽出し、遺伝子発現の解析をおこなったところ、tgマウスの生存骨細胞でも野生型マウスと同様に骨細胞特異的遺伝子の発現が認められた。これらの結果、tgマウスでは『骨細胞同士の細胞連絡の途絶によって破骨細胞誘導のシグナルが骨細胞から骨芽細胞に伝わっていない』事が強く示唆される。現在、骨細胞により骨芽細胞に誘導される破骨細胞の分化・活性化因子の同定を行うため、尾部懸垂実験で得られた骨芽細胞分画のtotal RNAをマイクロアレイにより解析中である。
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