2009 Fiscal Year Annual Research Report
心筋の虚血再潅流障害におけるRhoキナーゼの役割解明と制御
Project/Area Number |
20791079
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柴田 伊津子 Nagasaki University, 病院, 助教 (10404245)
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Keywords | 心筋虚血再灌流障害 / 心筋スタニング / PDEIII阻害薬 / 薬理学的ポストコンディショニング |
Research Abstract |
麻酔したブタを用いて、気管切開を行い人工呼吸器を装着し、胸骨を切開し心臓を露出し、頚動脈-左前下行枝バイパスを作製した。このバイパス回路を12分間遮断し90分間解除することによって左前下行枝灌流領域を虚血再灌流させる心筋虚血再灌流モデル(心筋スタニングモデル)を作成した。虚血再灌流部位に一対の超音波クリスタルを植え込み局所心筋短縮率(%SS)測定し、心筋収縮力の指標とした。このモデルを用いて、PDEIII阻害薬ミルリノンの薬理学的ポストコンディショニング効果について検討した。さらに虚血再灌流後のミルリノンの投与時間が心筋スタニングの回復に与える影響について検討するため、虚血再灌流直後から投与した群と虚血再灌流20分後から投与した群とで比較し検討した。ミルリノンは臨床使用量を中心静脈から全身投与した。 ミルリノンの虚血再灌流直後の投与が心筋スタニングからの回復を改善することが明らかとなった。しかし、虚血再灌流20分後からの投与では改善は認められなかった。このことからミルリノンは心筋スタニングの回復を改善する作用があるが、その作用はPDEIII阻害薬の強心作用による心筋の収縮力増強作用ではなく、心筋スタニングに対する保護効果、すなわち薬理学的ポストコンディショニング効果であることが証明された。この成果は、2009年7月にマレーシアで行われた国際学会16th Asean Congress of Anaesthesiologistsと2009年8月に神戸市で行われた日本麻酔科学会第56回学術集会で発表した。
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