2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血再灌流障害における水素ガスの抗酸化効果の検討
Project/Area Number |
20791082
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
古賀 寛教 大分大学, 医学部, 医員 (50468013)
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Keywords | 心筋虚血 / フリーラジカル / 電子スピン共鳴 / 水素 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒドロキシルラジカル消去作用を持つとされる水素について、各種再灌流傷害に対する臓器保護効果を検討することである。H22年度はまず、これまでに確立した水素水の投与法、特に、水素含有生理食塩水(水素水)を用いて経静脈的に投与する方法に着目し、我々が生成し、実際に動物実験に用いた水素水の性質、水素含有量の変動を検討した。その結果、驚くべきことに、作成したほぼ飽和状態で溶存していた水素は、約12時間でほぼ消失しており、水素を飽和状態で溶存させておくための何らかの機構が必要であることがわかった。生成してすぐに臨床でも用いられるシリンジと投与ルートで投与するこれまでの方法には、再検討の余地があると考えられる。しかし、一方で、そうした投与法において、投与する水素の量がたとえ微量であっても、水素水を静注することで、臓器虚血再灌流障害を抑制し得たという我々の研究結果は、水素の持つ還元作用の強さ、組織移行性の大きさを裏付けるものであり、どの濃度までが効果を発揮しうるのか今後の検討課題として重要だと考えられる。 また、水素がもたらす抗酸化効果の局所に対する効果、特に脳に与える影響を、代謝能という観点から検討を始めている。ラット脳のスライスを用い、水素水を持続灌流した環境下で、NMR(核磁気共鳴)装置を用い、ATP代謝の変動を測定するものである。他の抗酸化物質を用いた場合との差異や、虚血時間(灌流停止)の条件をかえることによる変動を捉える試みを行っている。 これまでの本研究の成果について、国際学会を中心に、周術期の惹起された臓器の虚血再灌流傷害にともなう各種病態に対し、水素水を使用することでの改善効果をもたらす可能性を提唱した。また、学術論文を投稿し掲載され、得られた新たな知見を社会に発信した。
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Research Products
(2 results)