2009 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頸がんにおける血漿中HPV DNA定量化の臨床的意義に関する研究
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20791151
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
嶋田 貴子 Nagasaki University, 病院, 助教 (30437876)
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Keywords | 腫瘍マーカー / 子宮頸癌 / HPV DNA定量 / SCC |
Research Abstract |
子宮頸がんの腫瘍マーカーとしてSCCがあるが、慢性腎不全患者などの患者では偽陽性を示すことがある。そこで血漿中のHPVDNAを定量し、子宮頸ぶん発症の診断や腫瘍マーカーとなるか否かについて検討することを目的とした。方法は2007年4月から2008年9月までに当院を受診し、子宮頸管分泌物においてHPV16陽性と判明した子宮頸部異形成または子宮頸癌(扁平上皮癌)の患者43名を対象とした。定量はSYBR Green Iを用いたリアルタイムPCRで行い、血漿1mlあたりに含まれるHPV16DNAのE6E7領域のコピー数を算出した。子宮頸管内HPV DNAの有無はインフォームドコンセントを得た女性に対しHybrid Capture法を用いて検査した。本研究は当院倫理員会の承認を得て行った。 その結果、HPV16陽性の子宮頸癌患者は子宮頸癌患者全体の約60%を占めていた。 子宮頸部異形成から上皮内癌までの患者血漿中にHPV16 E6E7 DNAを検出した例はなかった。浸潤癌患者では、20例中6例(30.0%)の血漿中からHPV16 E6E7 DNAを検出した。臨床進行期分類(FIGO分類)が進行するにしたがってHPV16 E6E7 DNAコピー数が増加する傾向が認められた。またSCCAが正常範囲であっても血漿中にHPV16 E6E7 DNAが検出された例があった。さらに、Primerの設定場所を変えると血漿中のHPV16 DNAの検出頻度が変化することが認められた。 以上のことから、血漿中に認められるHPV DNAはあちこちで切断されたウイルスゲノムの断片であることが考えられた。癌の浸潤や組織の壊死によってDNAが断片化し、血漿中に流入していることが考えられる。SCCAが正常範囲であっても血漿中にHPV16 DNAが認められた症例があったことから、血漿中のHPV DNA定量は腫瘍マーカーとして利用できることが期待できる。
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Research Products
(4 results)