2008 Fiscal Year Annual Research Report
アッシャー症候群本邦症例の変異解析:変異-病態スペクトラムの構築と臨床への応用
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20791189
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
中西 啓 Hamamatsu University School of Medicine, 医学部, リサーチアシスタント (20444359)
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Keywords | 遺伝子 / 感音難聴 / 網膜色素変性症 / アッシャー症候群 |
Research Abstract |
アッシャー症候群(USH)は、網膜色素変性症(RP)に感音難聴を伴う常染色体劣性遺伝性疾患である。USHは、臨床症状によりタイプ1からタイプ3の3つのタイプに分類され、さらに原因遺伝子がマップまたはクローニングされたものはサブタイプとして分類されている。現在までに、1B〜1H、2A、2C、2D、3A、3Bの12のサブタイプが知られている。 臨床症状よりタイプ2と診断した10家系11名の患者においてUSH2Aの遺伝子解析を行い、8家系9名の患者において14個の疾患原因変異を同定した。14個の疾患原因変異の中で、11個は新規の変異であり、さらに1つの変異は4家系に共通する変異であった。患者数は少ないが、本遺伝子変異は日本人のタイプ2患者に頻度が高い遺伝子変異であると考えられる。USHでは、難聴の出現よりRPの発症がかなり遅れるため、難聴のみからUSHであることの早期の確定診断は困難であるが、本遺伝子変異を解析することは、USHの早期診断に有効であると思われる。 遺伝子変異を同定することができた10家系11名の患者において、2アレルでの変異のタイプの組み合わせ(遺伝子型)と症状(表現型)の関連を検討した。ミスセンス変異をM、ミスセンス変異以外の変異(スプライシング変異、ナンセンス変異、欠失)をNとすると、難聴はMM<MN<NNの順に重篤であった。一方、網膜色素変性症では、遺伝子型と表現型に明らかな相関は認められなかった。環境因子による影響に加え、症状を修飾する他の遺伝子の存在が想定され、その寄与があることが推定された。
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