2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間隙経路を介したΑ群レンサ球菌の上皮バリア突破機構の解析
Project/Area Number |
20791336
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
住友 倫子 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 助教 (50423421)
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Keywords | レンサ球菌 / 病原因子 / 組織侵入 / 細胞間隙 / 上皮バリア |
Research Abstract |
多数の病原性細菌において, 宿主上皮の細胞間結合との選択的な相互作用が結合組織への侵入および病態発症に関与することが報告されている. しかし, A群レンサ球菌(GAS ; Group A streptococci)の組織侵入機構と宿主細胞間接着因子の関連性については, 莢膜を介する細胞間隙侵入経路しか報告されておらず, 詳細な機序は明らかとされていない. 本研究では, 細胞間隙経路を介したGASの組織内への侵入に関与する因子の同定を目的とした. ヒト腸粘膜上皮細胞(Caco-2)をトランスウェルシステムで培養し, これを上皮細胞バリアのin vitroモデルとして用いた. この上皮バリアモデルに, 劇症型GAS感染症由来のNIH35株(M28型), およびその莢膜欠失株を感染させ, GASの上皮バリア通過能を測定した. その結果, NIH35株は莢膜の有無に関わらず, 上皮バリアモデルに対する高い通過能を示した. また, GAS感染時の細胞間結合タンパクとGASの相互作用について, 共焦点レーザー顕微鏡による観察およびウエスタンブロット法により解析した. NIH35株感染細胞では、細胞間隙部位にGASの局在が認められ, 細胞間結合タンパクであるオクルディンおよびカドヘリンの分解も確認した. さらに, NIH35株のトランスポゾン挿入変異ライブラリーを用いたスクリーニングから, 溶血毒素であるストレプトリジンS(SLS)をコードするsagAが, GASの上皮バリアモデル通過能に関与することが示された. 以上の結果より, 本研究において, GASは細胞間結合タンパクの分解により上皮バリアを突破し, その機序にはSLSが関与することを明らかにした.
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