2011 Fiscal Year Annual Research Report
低エネルギー電子線照射によるレジン系歯科補綴物の無害化処理の実用化
Project/Area Number |
20791456
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Research Institution | Meirin College |
Principal Investigator |
伊藤 圭一 明倫短期大学, 歯科技工士学科, 助教 (60389955)
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Keywords | 低エネルギー電子線 / レジン系歯科材料 / レジン系歯科補綴装置 / 生体為害作用の低減 |
Research Abstract |
高分子材料の重合促進と架橋反応を起こす低エネルギー電子線(LEB)を歯科用メチルメタクリレート系樹脂(MMA樹脂)である義歯床用加熱重合レジンや義歯のリライニング用即時重合レジンに照射すると、MMAモノマーの溶出量が減少することが報告されている。この効果は、歯科補綴治療で高頻度に使用されているメチルメタクリレート(MMA)材料の生体為害性を低減させることに寄与するものと考える。本研究は、LEBをMMA樹脂に照射した際の物性を測定し、LEBがMMA樹脂に与える影響を検討することを目的に実施した。 調査項目は実際の有床義歯補綴治療を想定し決定した。義歯表面の傷の付きやすさに繋がる表面硬さについてはロックウェル硬さ試験、義歯を清潔に保つために重要な吸水性については飽和吸水量、義歯修理時に重要となる接着性についてはせん断様の試験とし、それぞれの調査項目に対して適切な試験を実施してきた。それぞれの試験結果からはLEB照射と未照射の条件において有意差は認められなかった。接着試験において、LEB照射した加熱重合レジンの被着面に即時重合レジンを接着する条件で、接着強さが大きくなる傾向が示唆された。また、破断面の観察ではLEB未照射では界面破壊であったが、LEB照射後の被着レジンに接着レジンを接着する条件では混合破壊もしくは被着材破壊に近似した様相であった。本研究で実施した試験結果からは、対象とした義歯床用レジンに対してLEB照射を行っても物性を低下させないことが示唆され、LEBがMMA樹脂に与える影響を検討することができた。
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Research Products
(1 results)