2008 Fiscal Year Annual Research Report
力学親和性および生体活性インターフェイスを有するインプラントマテリアル創製
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20791459
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 祐子 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (20451528)
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Keywords | インプラント / インターフェイス / 表面改質 / オッセオインテグレーション / ハイドロキシアパタイト成膜 / MOCVD法 / 打ち抜き試験 / チタニア膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は、チタン(Ti)表面に周囲生体組織の賦活化を促す性状を付与する表面改質を施すことにより、オッセオインテグレーションの早期獲得と、さらに生体力学的な適応を可能とする新規マテリアル開発を目指すものである。生体分子と金属とを結ぶ表面酸化膜の性状は、インプラント体表面における周囲組織細胞の活動に影響することがわかっており、これを任意に制御する技術が東北大学金属材料研究所複合材料学研究部門において確立されている。 今年度は、有機金属錯体化学気相析出(MOCVD)法により、cpTiおよび金属ガラス上にハイドロキシアパタイト(HA)膜を成膜し、成膜の有無による骨結合強度を比較検討した。直径3mm、長さ10mmの円柱状試料を、ウサギ脛骨に埋入し、4週、8週後に打ち抜き試験を行った。その結果、4週後の骨結合強度について、HA膜チタンはcpTiに比べ有意に高い値を示した。これにより、MOCVD法によりHAを成膜したチタン試料は、インプラント治療の成否において特に重要である埋入後早期の骨結合獲得に有用であることが示された。また、金属ガラスでは4週と8週の骨結合強度に有意差が見られず、本法によるHA成膜は、特にチタンにおいて有用であることが示唆された。 今後は電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ法によるチタニア(TiO2)膜およびレーザー化学気相析出(LCVD)法によるチタン酸カルシウム(CaTiO_3)膜について同様の試験を行い、各種成膜法の骨結合強度を比較検討する。また、in vitroにおいて骨芽細胞を用いた培養試験により、表面性状の細胞に与える影響を検討するほか、in vivoにおいては、周囲骨組織新生の組織学的検討を行う予定である。
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