2008 Fiscal Year Annual Research Report
三叉神経損傷動物を用いた三叉神経痛の発症機構の解明
Project/Area Number |
20791562
|
Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
阿部 徹也 Hyogo College of Medicine, 医学部, 助教 (60412053)
|
Keywords | 三叉神経 / サブスタンスP / GABA受容体 / c-Fos / ニューロキニン1 / SPサポリン / 侵害受容ニューロン / ビククリン |
Research Abstract |
口腔・顔面領域は皮膚領域と、粘膜領域とが入り組み、多くの疼痛を症状とする疾患を起こす。その疼痛発現は脳内抑制性伝達物質であるGABA受容体を通して制御され、その制御効果も顔面の疼痛に対する方が大きいことが明らかになった。口腔領域はC線維が顔面皮膚より少なく、そのことが中枢の制御機構にも差を生じさせている。ライボソーム非活性化毒素であるサポリンをSP(サブスタンスP)に結合させたSP-サポリンを小脳-延髄槽(大槽)に投与したラットでは、VcのI層とIII層のNK-1(ニューロキニン1)受容体免疫陽性ニューロンの数が減少した。三叉神経節を電気刺激した後のVcでのc-Fos発現がコントロールラットに比べ減少した。コントロールラットでは電気刺激前にビククリンを全身投与するとVcでのc-Fos発現は減少するが、SP-サポリン処置ラットでは逆に増加した。すなわちNK-1を持つニューロンが侵害刺激の受容だけでなく、上位脳のGABAAを介した制御系に関与することを示した。臨床において歯科口腔外科では抜髄処置や抜歯を行うことが多く、微小環境での神経切断が必然的に行こり、異常な疼痛が起りやすい(神経因性疼痛)。この異常な疼痛の主因は、神経損傷後に、損傷されたニューロンだけでなく、近傍の無傷のニューロンが異常な活動をすることと考えられている。三叉神経を切断すると支配領域からの入力は遮断されるが、ニューロンの表現型を変化させ、異所性の発火を起こす。ラットの三叉神経切断後に、三叉神経節を電気刺激し、脳内のc-Fos活動を調べると、切断神経からの侵害受容ニューロンの活動は低下し、機械刺激受容ニューロンの活動は増加した。逆に非切断神経からの侵害受容ニューロンの活動が増加することが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)