2009 Fiscal Year Annual Research Report
下顎頭発生における初期軟骨での細胞接着因子Odz3の機能解析
Project/Area Number |
20791565
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹下 信郎 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (50431515)
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Keywords | 下顎頭 / 0dz3 / 軟骨細胞 |
Research Abstract |
下顎頭の形成を制御するメカニズムの解析は、健常な顎関節の成り立ちを知る上で重要であり、過去多くの報告が為されてきたが、そのメカニズムの詳細は未だ不明である。膜貫通型糖タンパク質であるOdzファミリーは、神経系組織の発生に関与するうえ、非神経系組織においても発現が認められ、種々の組織の形成に寄与する重要な因子であると考えられている。本課題では、Odz3が下顎頭形成において重要な働きを担う因子であると推論し、下顎頭形成におけるOdz3の機能の解明を目的として系統的な解析を進めることにした。 生後1日、1週、3週齢マウスの下顎頭におけるOdz3と各種軟骨分化マーカー遺伝子の発現パターンをin situ hybridization法にて解析したところ、I型コラーゲンは線維層および増殖軟骨層に、II型コラーゲンは増殖軟骨層および成熟軟骨層に、X型コラーゲンは肥大軟骨層にそれぞれ発現が認められた。Odz3は線維層および増殖軟骨層に発現が認められ、1型コラーゲンに類似した発現様式を示した。また、マウス由来軟骨系細胞株ATDC5を用いた培養系におけるOdz3および各種軟骨分化マーカーの発現をRT-PCRにて解析したところ、軟骨分化初期にOdz3の強い発現が認められた。この発現パターンは、1型コラーゲンの発現パターンと類似していた。さらに、ATDC5におけるOdz3の発現をsiRNAを用いて抑制したところ、Sox9およびII型コラーゲンの発現が上昇した。 これらのin vivoおよびin vitroの実験結果から、Odz3は未分化間葉系細胞のマーカーとして知られるI型コラーゲンと同様の発現を示すことが明らかとなり、Odz3が下顎頭の形成過程において軟骨細胞の分化を制御している可能性が示唆される。今後はより詳細なOdz3の機能解析を行い、得られた成果を国際誌にて発表する予定である。
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