2009 Fiscal Year Annual Research Report
注意欠陥多動性障害児の母親におけるマターナルアタッチメント形成プロセスのモデル化
Project/Area Number |
20791740
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Research Institution | Ehime Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
真野 祥子 Ehime Prefectural University of Health Science, 保健科学部, 助教 (90347625)
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Keywords | 注意欠陥多動性障害 / 愛着 / 半構造化面接 / 情動 / サマートリートメントプログラム |
Research Abstract |
申請者の研究から、注意欠陥多動性障害(ADHD)児の母親の養育態度が厳格となる背景に、子どもとの相互作用を通して二次的にマターナルアタッチメント(以下MA)形成が妨げられていることが示唆されている。そこで、MA形成促進のための支援方法を考察するため、児の成長に伴いどのようなプロセスを経て形成されてきたのかを明らかにした。結果は昨年度の本実績報告書の通りである。今年度はこの結果をもとに、ADHD児を持つ母親の支援のあり方を検討し、実際に援助プログラムの効果をMAの側面から測定した。 支援方法については以下の通りである。特に学童の母親の場合、周囲からの批判によって疲弊してしまっていることが想像できる。よって診察時には母親の大変さに理解を示し、母親が困難を感じていることに対する具体的な対応策や暖かい言葉をかけ、正しい疾患の知識を伝え、親同士が支えあえる場を紹介することが重要である。そして、周囲から受ける批判自体への対処も重要である。母子と学校や保護者との関係性を査定し、緊張した関係にある場合は援助者が仲介するなどの対策を講じなければならない。父親からサポートを得られる場合は積極的な活用が大切である。母親のネガティブな情動表出を促す子どもの問題行動出現を防ぐために、子どもの行動改善を図ること、また、母親の養育スキル向上も必要である。具体的には子どもに対するSST、母親に対してはペアレントトレーニングの実践が考えられる。 次に、行動および適応改善を目的としたADHD児と家族のための援助プログラムであるSummer Treatment Program(STP)と半年後のフォローアップを含めた効果をMAの側面から検討した。その結果、STPによって子どものADHD、反抗挑戦性障害(ODD)傾向が改善することで、母親の子どもに対するネガティブな感情が有意に改善したことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)