2009 Fiscal Year Annual Research Report
長期在宅人工呼吸療養者における健康問題と看護支援の体系化に関する研究
Project/Area Number |
20791812
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
中山 優季 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (00455396)
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Keywords | 医療福祉 / 難病看護 / 筋萎縮性側索硬化症 / 長期人工呼吸療法 / 意思伝達困難 |
Research Abstract |
本研究の目的は、筋萎縮性側索硬化症(以下、ALS)長期人工呼吸療養者の生活の質の向上に寄与するために、わが国及び米国における人工呼吸療養者に生じる健康問題とその対応に関する支援の体系化を図ることである。今年度は、初年度に明らかとなった健康問題について、その発生機序と対策検討、米国での状況を踏まえた考察を行い、ALSの病態の多様性を示した。 初年度に身体各部位別に整理した健康問題の発生機序は、病理・臨床知見を踏まえ、次の3つに大別された。第一に、随意筋障害に続発する問題として、眼球運動・口腔開閉・困難に続発する症状、第二に、情動運動・自律運動系の問題として、循環器、消化器に関連する症状、第三に合併症として、肺、泌尿器、皮膚、代謝に関連する症状であった。 これらの要因が複雑に絡み合い、多彩な症状を呈していた。対応には、各人による工夫が多くみられたが、程度や自覚症状の把握が困難であり、苦慮していた。特に対応困難なものとして、意思伝達手段の維持、口腔症状への対応、消化器不快症状(排泄コントロール困難)等があった。 そこで、意思伝達手段の維持のために、生体信号や微細な筋活動を検出する方法の開発、改良への取り組みを行い、病理的にも機能保持されるという括約筋を用いる方法を着想した(職務発明認定21医研神第32号)。 また、米国での状況とは、医療制度や文化社会的背景の違いにより一概に比較することは困難であるが、20年に及ぶ追跡調査から、計画外の人工呼吸療法に至る割合が高いこと、気管切開人工呼吸療法後の療養期間は長期に及び、完全随意筋麻痺の状態に至る場合もあることが明らかとなった。対象ごとの詳細な経過観察に基づく看護研究は、本邦でしかなしえないものであり、引き続き本研究で得られた知見をもとに、病理・神経学との集学的な検討に発展させ、病態の多様性を追究・対応策の立案を目指していく。
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Research Products
(13 results)