2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20800006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 修士 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (90507922)
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Keywords | 記憶錯誤 / 虚再認 / 脳機能画像法 / 認知神経科学 / PET / fMRI / 内側側頭葉 / 前頭前野 |
Research Abstract |
本年度は健常被験者を対象に行った虚再認と嘘の神経基盤に関する研究成果を報告した(Abe et.al., 2008)。この研究ではDRMリストと呼ばれる、虚再認を高い確率で引き起こすことが可能な単語リストを用いて、1)学習した単語を正確に再認できた時、2)学習していない単語にもかかわらず学習したものであると虚再認を起こした時、3)学習していない単語にもかかわらず学習したものであると意図的に嘘をついた時、の3種類の認知過程に伴う神経基盤を同定するために脳機能画像法による実験を行った。被験者は聴覚呈示による単語リストを学習した後、視覚呈示による再認記憶課題中の神経活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)によって測定された。結果として、まず意図的に嘘をついた場合には外側の前頭前野の賦活が認められ、これまでの先行研究の知見とも合致するものであった。次に虚再認に比べ正確に再認できた場合には当聴覚連合野の賦活が認められた。この結果は実際に知覚入力を経て学習した単語の再認の際には、聴覚関連領域の再活動が関与している可能性を示唆している。最後に、虚再認と嘘に関わる神経活動の直接比較を行った結果、嘘に関連して前頭前野の賦活が認められ、虚再認に関連して内側側頭葉(右海馬前方)の賦活が認められた。後者の内側側頭葉の活動に関しては、この領域が記憶の客観的な正確性だけではなく、主観的な判断にも関係している可能性を示唆しており、記憶錯誤における内側側頭葉の関与を考察する上で非常に重要な知見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)