2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境の保全・活用における「物語」の効果に関する研究
Project/Area Number |
20810026
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
太幡 英亮 Nagoya University, 工学研究科, 助教 (00453366)
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Keywords | 環境保全 / 環境活用 / 物語 / 意味 / 語り |
Research Abstract |
(1)環境の保全・活用に関する「物語」の分析の展開 環境と物語の関係について、アニメ映画「クラック」を題材にし、永く愛される一脚の椅子と、それが持つ物語の関係に着目した分析を展開させた。特に、一脚の椅子の背景にあるケベックの文化的特殊性、意匠の歴史的位置づけ、関わる人物と行為の多様性、時間的側面(持続可能性)について分析することができた。永く愛される環境の持つ特性を、アニメ作中の椅子を事例に多面的に考察できたことに意義がある。 (2)学会学術誌への投稿及び学会大会での発表 日本インテリア学会大会において「アニメ作品「CRAC!」におけるロッキングチェアの意味の研究」と題して連続する2編の研究発表を行い、環境の保全・活用という側面での好例として、永い間多くの人々に愛されたイスについての分析を行い、永く愛される理由について文化、歴史、意匠、時間といった側面から明らかにし、インテリア分野において発表できたことは意義があった。 (3)物語をもつ環境の事例調査としての「保育園児の散歩と環境の関係」の分析 環境が豊かな物語を獲得するためには、その環境と密接に関係する出来事の存在が前提と考えられたため、具体的な事例をもとに研究を進める必要があると考えられた。そこで、以前の研究において居住環境の植栽を意味づける重要な主体であった保育園児に着目し、その散歩を現地調査し、いかなる環境といかなる行為をもって結びついたかを明らかにした。特に、個人的に育てられた植栽や、都市計画的に配された街路樹、緑道の緑、その他散歩ルート上の様々な環境と園児の行動との関係にはそれぞれ特徴があった。園児を対象としたため、「語り」を採取することはできなかったが、環境に物語を生みだすような「環境との密接な関わり」があるかどうかは、その環境の空間的特徴と関係があることを示唆する結果が得られた。
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Research Products
(2 results)