2008 Fiscal Year Annual Research Report
エチオピアにおける国家と民族関係再考:統合と分離の狭間
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20810030
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
眞城 百華 Tsuda College, 学芸学部・国際関係学科, 助教 (30459309)
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Keywords | エチオピア / エリトリア / 民族関係 / アフリカ史 |
Research Abstract |
2008年度10月以降、当科研課題に関する研究を実施した。本年度は、主に文献と史料の渉猟を行い、エチオピア北部のティグライ社会とエリトリアの関係について分析を行った。 エチオピア中央政府やエリトリアとの関係についての従来の研究分析を行う一方で、2009年3月にはイギリス国家史料館において関係史料を渉猟した。文献の分析では、特にエチオピアの対エリトリア政策、ならびに地方行政改革に関する一連の動きを整理した。特にエチオピアとエリトリアの連邦化(1951-62)、エチオピア・エリトリア併合(1963)の時期に関して、中央政府が行った対エリトリア政策に関する先行研究を整理した。従来の研究ではエリトリアで軍政を実施していたイギリス政府やエチオピア・エリトリアの連邦化について調査を実施した国連調査団との関係を中心とした外交関係が注視されており、中央政府の意図は明らかになる一方で、エリトリアの民衆に関しては国連調査報告に報告されている内容の把握にとどまっていることも明らかになる。その後のエリトリア併合がエリトリア社会に及ぼしたインパクトを把握するためには、連邦化をめぐるエリトリア社会の議論をさらに調査する必要がある。また、エリトリア政策をめぐるエチオピア政府の議論が外交関係にとどまっているため、エチオピア政府がエリトリア併合を狙って、同地と隣接するティグライ州の政策にどのように対応したのか、従来の研究ではまったく触れられていない。この点については、次年度の現地調査において布告などエチオピア政府発行文書ならびに刊行物、新聞などを分析していく必要性が明らかになった。 エチオピア史において、地方政治に関する研究蓄積が浅い中、イギリスの軍政史料、外務省史料を渉猟し、それを用いた分析を行ったことにより、従来明らかでなかった両国関係の対立や意識の差が浮き彫りになった。調査の結果、エリトリアにおける陸軍史料の中でも、エリトリアの中でエチオピアとの統合や分離をめぐり多様な運動が組織されていることが明らかになってきており、今後こうした運動の動向が隣接するティグライ州にどのように影響を及ぼしたのかについて研究していく必要性も明確になった。上記史料の分析と平行して、2009年度夏に実施予定のエチオピア、エリトリアにおける調査の準備も進めている。
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Research Products
(1 results)