2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規人工調製肺サーファクタントのインテリジェント・ナノ医薬としての試み
Project/Area Number |
20810041
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
中原 広道 Nagasaki International University, 薬学部, 助手 (00513235)
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Keywords | 肺サーファクタント / 表面張力 / 表面電位 / 蛍光顕微鏡 / ブリュースター角顕微鏡 / 呼吸窮迫症候群 / 未熟児 / DPPC |
Research Abstract |
人工調製型肺サーファクタント脂質の基本成分はDPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)/PG(ホスファチジルグリセロール)/PA(パルミチン酸)(=68:22:9,wt/wt/wt)を用いた。これは、羊水中の脂質組成と同様であり、最も有効な肺サーファクタント脂質混合物として多くの研究者によって用いられ、また臨床的にRDS治療薬にも適用されている。これまでに申請者はin vitroで人工調製型肺サーファクタント(DPPC/PG/PA/Hel 13-5)とRDS治療薬(Surfacten)の2次元物性比較を行った。種々の表面物性解析法(π-A等温線、ΔV-A等温線、Hysteresis曲線、蛍光顕微鏡画像)で比較検討した結果、表面物性においてこの人工調製型肺サーファクタントはSurfactenに匹敵する結果が得られた。本年度は先ず、人工調製型肺サーファクタント系においてPG成分(陰イオン)とHel 13-5(陽イオン)が静電的相互作用により特異的に相互作用することを突き止めた。これは肺サーファクタントメカニズム(界面を介した吸着・脱着機能)に関して新たな知見を与えた。次にin vitro-in vivoデータを関連付けるために、肺内物性(in vivo)に関して比較検討を行った。現段階のデータを統合すると実際の肺内物性においてもこの調製物はSurfactenに匹敵することすることが見出された。 本年度の成果は呼吸における分子レベルでの肺機能メカニズムの解明及びSP-B、SP-C模倣ペプチドを含有する新規RDS治療薬の開発等に大きく貢献すると考えられる。
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