2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規人工調製肺サーファクタントのインテリジェント・ナノ医薬としての試み
Project/Area Number |
20810041
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
中原 広道 Nagasaki International University, 薬学部, 助教 (00513235)
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Keywords | 肺サーファクタント / 表面張力 / 表面電位 / 蛍光顕微鏡 / ブリュースター角顕微鏡 / 呼吸窮迫症候群 / 未熟児 / DPPC |
Research Abstract |
人工調製型肺サーファクタント(LS)脂質の基本成分はDPPC(ジパルミトイルポスファチジルコリン)であり、また微量ではありますが重要な成分としてPG(ホスファチジルグリセロール)が存在します。昨年度の実績報告書でも述べましたようにLS系においてPG成分(陰イオン)とHel 13-5(陽イオン)が静電的相互作用により特異的に相互作用することが明らかとなっています。そこで本年度(最終年度)は、3種のLSモデル膜(DPPC/Hel 13-5, DPPG/Hel 13-5, DPPC/DPPG/Hel 13-5)を作製し、この特異的相互作用が如何にしてHel 13-5ペプチドの2次構造を制御しているのかについて研究を行いました。2種の赤外分光法(気液界面と気固界面)により、以下のことが明確となりました。DPPGとHel 13-5間の静電的相互作用は、膜表面積の減少に伴う2次構造変化(α-ヘリックスからβ-シート構造)に耐性を示します。静電的相互作用の無いDPPC/Hel 13-5のLSでは完全にα-ヘリックスからβ-シート構造に変化しました。また肺サーファクタント膜の圧縮・拡張によりα-ヘリックス含量は約80%から30%程度まで減少しました。さらにこの2次構造変化はDPPG成分の有無に関わらず、不可逆的な変化を示しました。これらはLS機能・機序(界面を介した吸着・脱着機能)に関して新たな知見を与えました。 この研究プロジェクトの成果は呼吸における分子レベルでの肺機能・機序の解明及び模倣ペプチドを含有する新規RDS治療薬の開発等に大きく貢献すると考えられます。
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