2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20820019
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
小塚 良孝 Aichi University of Education, 教育学部, 講師 (40513982)
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Keywords | 古英語 / 語順(SVO / SOV) / コロケーション / 等位節 / 散文 |
Research Abstract |
本研究は、古英語(Old English)の散文における動詞と目的語の語順の決定要因をコロケーションや定形性との関係に着目して考察するものである。それにより、古英語に特徴的な(S)OVという語順が用いられる要因の一部を明らかにすることを本研究は特に目的としている。この目的の下、昨年度は、古英語訳福音書West Saxon Gospelsを中心として後期古英語期の宗教散文の分析を行った。分析に際して特に注目したのは、and、acなどの等位接続詞に導かれる主節(以下等位節)における名詞目的語と定形動詞の語順である。古英語の等位節については、OV語順を取る傾向があり、とりわけ目的語となる名詞が軽い場合にその傾向が顕著であることがKohonen(1978)やMitchell(1964, 1985)など多くの研究により指摘されている。しかしながら、そのような形式的な観点だけでは説明できない用例も少なくない。 昨年度の研究では、特にWest Saxon Gospelsの等位節の語順の分析から重要な点がいくつか見出された。つまり、コロケーションに着目すると、VO/OVの選択が揺れないパタン、また、選択は揺れるがVO/OVのどちらかに大きく傾くパタンが認められた。例えば、人名が目的語になる場合には常にVOであるが、逆に、panc (as) don "to give thanks"というコロケーションでは常にOVであった。こうした観察結果は、動詞と名詞の組み合わせによっては語順が固定的で、OVになりやすい(またはなりにくい)パタンがあったことを示唆する。語彙と語順の結びつきはこれまで注目されてこなかったが、本研究により、古英語の語順を考察する際には重要な観点であることが示された。
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