2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20820034
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
圷 美奈子 Wayo Women's University, 言語・文学系, 准教授 (80453471)
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Keywords | 国文学 / 『枕草子』 / 本文研究 / 注釈 / 校訂 / 享受史 / 古活字本 / 版本 |
Research Abstract |
初年次から行っている本研究の基本となる作業、(『枕草子』の古注釈の本文と、そこに示された解釈を調査の対象とした、現行の、特に三巻本系統本による注解付テキストに引き継がれていない箇所及び内容についての悉皆的な調査)を完了させ、最終年度となる本年度(二年次)は、さらに、使用本文による異同の問題を越えて、作品の内容的特質がどのように捉えられ、変化していったか、注釈研究史の様相にっいて明らかにすることを目的として研究を進めた。 二年にわたる調査結果に基づく実践的な研究として、『枕草子』の章段及び表現(語彙・語法等)について、両系統本併読の見地に立つ新たな解釈を提示する研究を行った。歴史的背景を有する日記的章段、初の随筆文学と位置づけられる本作品の独創の核心である随想的章段、形態における特殊性が際立つ類聚的章段、これら作品の内部ジャンルごとに、本文を一つに定めた現在の研究手法によっては看過されてしまう手法的特徴について研究を進めてきた。 古注釈研究・伝本研究を踏まえた上での本格的な読解研究を進め、本申請課題のさらなる成果として新たな注釈作業を展開するべく、本年度は、まず、『枕草子』の問題章段(日記的章段)を取り上げて論じた(研究成果〔雑誌論文〕の第一)。これは、注釈行為のひとつとして、勅撰集編纂時における理解の問題も対象にした試みである。 また、作品及び作者が、時代によってどのように評価されてきたのか、作品の享受史について、社会的な動きとの関わりからも検証するべく、同時代の記録・先行する物語文学などもあわせて読み解く手法により、『枕草子』の文学性について新しく評価している(研究成果〔雑誌論文〕の第二)。
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Research Products
(4 results)