2008 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀後半における清朝とカザフ遊牧勢力の対外交渉に関する研究
Project/Area Number |
20820035
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
小沼 孝博 Gakushuin University, 東洋文化研究所, 助教 (30509378)
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Keywords | 18世紀 / 清朝 / カザフ / チャガタイ語 / 満洲語 / 外交 / 遊牧 |
Research Abstract |
本研究の目的は,18世紀後半における満洲人王朝の清朝(1616-1912)と中央アジアのカザフ遊牧勢力との対外交渉を,清朝の公文書である満洲語文書,カザフ首長層が清朝に宛てたオイラト語(トド文字モンゴル語)・チャガタイ語(アラビア文字テュルク語)文書等の分析にもとづいて検討し,中央アジア北部草原地帯における清朝の政治権力の拡大・浸透過程と,それがカザフ遊牧社会に与えた影響を具体的に明らかにすることにある。 本年度は,日本語論文1本,中国語論文1本,英文報告書1冊(単著)を刊行した。日本語論文ではジューンガル遊牧国家の発展・衰退の過程におけるカザフ遊牧民との関係,中国語論文ではカザフ内におけるオスマン朝認識およびその清朝への伝播について論及することができた。 また,12月には台北市の故宮博物院図書館と中央研究院歴史語言研究所を訪問し,清代公文書の調査を行った。特にカザフ首長層が派遣した使臣の迎接体制に関する文書を重点的に調査した。また,その資料の内容と対照しつつ,すでに筆写してある中国第一歴史档案館所蔵「満文カザフ档」の翻訳とデータ化を進めた。さらに,現在までに収集し得たカザフ首長層が清朝に送付した書簡(来文)の原本であるチャガタイ語文書6件について,翻訳とデータ化を完了することができた。以上の作業はいずれも,2009年度に予定している,清朝-カザフ関係の研究において根本となる資料を集成した英文史料集刊行のための準備作業である。
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Research Products
(5 results)