2009 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀後半における清朝とカザフ遊牧勢力の対外交渉に関する研究
Project/Area Number |
20820035
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
小沼 孝博 Gakushuin University, 東洋文化研究所, 助教 (30509378)
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Keywords | カザフ / 清朝 / オイラト / 満洲 / 中央アジア / イリ / タルバガタイ / 外交 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画に沿い、18-19世紀における清-カザフ関係に関連する文書史料の収集と分析をおこなった。そして、本研究課題の申請時に目標として設定していた、清-カザフ関係に関する英文資料集(野田仁氏との共著)を刊行することができた。本書の第一章には、本研究課題によって収集したものを含む、カザフ首長層が清朝に宛てたオイラト語・チャガタイ語文書16件を収録した。各文書のアラビア文字テキスト(チャガタイ語文書のみ)、ラテン文字転写テキスト、訳文、註釈を提示し、また関連する満文・漢文文書のテキスト・訳文も加えた。第二章は小沼の英文論文、第三章は野田氏の英文論文を収録した。第四章では、中国北京市の中国第一歴史梢案館所蔵のカザフ関連史料「満文哈薩克档」を利用して、カザフ首長層が清朝宮廷(北京・承徳)に派遣した使節団の回数・年次・人的構成を解明した。また、本書には収録できなかったが、平成22年1月に中国第一歴史梢案館で調査を実施した際に発見したチャガタイ語文書についても分析を進め、1770年代におけるカザフ草原南辺における政治情勢が清朝の対中央アジア政策、新彊統治政策に与えた影響を検討した学術論文を執筆した(投稿中)。さらに、5月にはソウル大学中央ユーラシア学研究所の国際シンポジウムに招聘され、本研究課題に隣接する分野である、ジューンガル遊牧国家における中央アジア商人の活動と役割について報告を行い、同研究所刊行の英文雑誌への寄稿を準備している。
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Research Products
(5 results)