2008 Fiscal Year Annual Research Report
リスク社会におけるライフイベントと家族の適応に関する研究-縦断的データを用いて
Project/Area Number |
20830022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 あかね The University of Tokyo, 社会科学研究所, 准教授 (20470106)
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Keywords | 家族・親族・人口 / 階級・階層・社会移動 / 社会調査法 |
Research Abstract |
平成20年度には、国内外の家族ストレス論およびライフコース論の文献を体系的に蒐集し、理論モデルおよび分析結果の現代的意義を再検討した。先行研究からは、少子高齢社会だからこそ、第1子の出生が家族にストレスをもたらしうる重要なイベント(リスク)であること、また近年の雇用流動化という状況の下では世帯の経済状態も無視できない背景であることを見出した。そして、夫婦の役割の変化、夫以外のサポートとの関連から、妻の夫婦関係満足度の低下を説明する仮説を構築した。 本研究で用いる縦断的データとは、同-個入を継続的に追跡した調査から得られる。したがって、その特長を踏まえた適切な分析手法を用いずに、従来主流であった横断面データに対する回帰分析をそのまま適用すると、分析結果にバイアスをもたらす可能性がある。これは統計学的な観点にとどまらず、理論的な観点からも問題となる。そこで、Hsiao, 2003, Analysis of Panel Date, Cambridge university Press./Wooldridge, 2003, Intruductory, Econometrics, Thomson./北村行伸『パネルデータ分析』岩波書店.などの文献をもとに、固定効果・変量効果モデルについて統計学的な観点からの理解を深め、StataやLIMDEPなどソフトウェアの利用方法の習得にも努めた。 平行して、分析に用いる「消費生活に関するパネル調査」(1993年〜)の質問項目の整理とデータセットの加工を進め、予備的な分析を行ったところ、依然として、第1子を出産した女性の多数が結婚前に仕事を辞めている現状が確認された。今年度の研究の成果については、関連諸分野の研究者と意見を交換しつつ、平成21年度の成果の公表に向けて準備を進めた。
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Research Products
(1 results)