2008 Fiscal Year Annual Research Report
MgO(001)単結晶基板を用いたトンネル型スピンフィルター素子の実現
Project/Area Number |
20840023
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 雅章 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 助教 (50508405)
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Keywords | スピントロニクス / スピンフィルター効果 / トンネル磁気抵抗効果 / パルスレーザー堆積法 / 強磁性絶縁体 |
Research Abstract |
本年度は低温下でのトンネル型スピンフィルター素子の伝導特性評価を行うために,磁気抵抗測定装置の立ち上げを行った.参考試料としてSrTiO_3ステップ基板上にレーザーアブレーション法,超高真空蒸着器により,La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3/LaTiO_3/La_2NiMnO_6/Cr/Auという構造を持つ多層膜を成膜し,フォトリソグラフィー,ミリング等を用いて数〓m程度のサイズのトンネル型スピンフィルター素子を作製した.この試料において極低温での磁気抵抗測定を行った結果,50Kで10%程度のトンネル磁気抵抗効果が観測され,強磁性絶縁体La_2NiMnO_6のスピンフィルター効果が確認された.MgO(001)基板上へのスピンフィルター素子の作製を行うために,酸素雰囲気の濃度を変えて,トンネル磁気抵抗素子での下部電極となる強磁性金属La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3をレーザーアブレーション法で成膜し,その結晶評価,磁気的性質の評価を行った.その結果,(1)酸素圧200mTorr以上で成膜を行うことで,La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3のエピタキシャル成長することがわかった.(2)高い酸素圧下でレーザーアブレーションを行うことでLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3薄膜の飽和磁化量やキュリー温度が大きくなり,300mTorrではSrTiO_3ステップ基板上のLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3と同程度の飽和磁化量及びキュリー温度を有する試料が作製できた.一方で,本年度中にMgO(001)基板上でのスピンフィルター素子の作製までには至らなかった.現在は,MgO(001)基板上にLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3/LaTiO_3/La_2NiMnO_6/Cr/Auの構造を持つ多層膜を作製し,スピンフィルター素子への加工を行う準備をしている.
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